DISSIDIA FINAL FANTASY OPERA OMNIA

DISSIDIA FINAL FANTASY OPERA OMNIA メインシナリオ~幕間~

  • 光の戦士編一「過去と現在の記憶」
  • 光の戦士編二「同質の存在」
  • 光の戦士編三「混沌の化身」
  • 物質の神編「憂鬱な女神」
  • 精神の神編「後悔の神」
  • オニオンナイトの称号を持つ少年編一「悠久の記憶」
  • オニオンナイトの称号を持つ少年編二「光の戦士」

光の戦士編一

「過去と現在の記憶」

 かつて大地だった土くれが天地に分かれ、空だったところには無限に等しい虚空が広がるばかり。無風。かと思えば、でたらめな風が吹きつける。
 時間も、空間の感覚もなく、ただ交わされる剣戟だけが確かな場所で、「光の戦士」と呼ばれる男は、長き戦いに身を投じていた。

「覚えているか? 異なる世界でも、わしらがこうして闘争に明け暮れたことを」

 戦いの相手、ガーランドは言う。
 挑発のようであり、鼓舞するようでもある。あるいは懐かしい思い出話なのかもしれない。

「闘争は必ず終わった。此度も必ず終わらせてみせる」

 無論、光の戦士は覚えていた。
 かつて彼が「勇者」として、秩序の神と混沌の神が作り出した戦いの大地に立っていたこと。その後、 ガーランドとカオスとの戦いを経て、次に物質の神と精神の神による戦いの大地に立ったことを。

「それは、神のためか?」

 ガーランドの重い一撃を受け止めながら、光の戦士は首を横に振る。確かに、神々――ことマーテリアについては、同じ目的を持って行動してきた。しかし、それはマーテリアと彼の願いが一致していたからだ。戦士に安息をもたらしたい、闘争を終わらせたい。それは多少の差異はあるものの、マーテリアと光の戦士に共通する願いだった。

「私自身のためだ」

 かつての戦いで、彼は多くの戦士に出会った。
 ある時は敵として、ある時は同志として共に戦った。その思い出は、今も大切に彼のなかにある。一方で、悪しき目的に染まる戦士もいた。そのなかでも純粋な闇から、一条の光を感じる者まで、多様な戦士と対峙してきた。

 そして、この「安息の大地」と呼ばれた場所。ここでは、誰もかつての戦いを覚えていない。だが、それでも光の戦士は満足だった。
 今までにないほど多くの仲間に出会い、今までにないほど多くの感情を目の当たりにした。そのひとつひとつの想いが、彼にとって美しい「光」だった。

 それぞれの仲間が現れたことで、隠れていた悲しみを知った。それぞれが記憶を取り戻したことで、秘められていたわだかまりや、優しさを知った。それでも光のある方へとあがき、進もうとする仲間たちの力になりたいと、心から願い、彼は皆を導く役目こそ自分の使命であると信じ、仲間の光に寄りそった。

 だから、世界を壊してはならないと思った。

 すべてを飲み込んだ「闇のクリスタルコア」がエネルギーを放出したあのとき、光の戦士は「理の転換」を感じた。このままでは皆が互いのことを忘れ、世界が作り直されてしまうと理解した。彼はそれに抗った。

 光の戦士の強い「願い」は「意志」となり、仲間たちを守護して「新世界」に送り込んだ。同時に彼は闘争をこい願うガーランドを隔離し、かつて安息の大地だった場所、「旧世界」に留め置いている。ガーランドは他のどの戦士の思惑にも縛られることなく、純粋な闘争に依ってこの世界に存在している。ならば、その業を分かち合うことで、他の戦士を巻き込むことなく、ガーランドの存在を肯定できると、彼は考えたのだ。

 光の戦士は今も、闘争の終焉する平和を願い、ガーランドは永遠に続く闘争を願っている。
 彼の願いは叶っていない。ただ闘争だけが続く。

 新たな世界は、せめてそんな世界でなければよいと思う。
 きっと仲間たちならその世界を築いてゆけるだろう。

 光ある限り、皆の意志は共にある。それを信じているから、光の戦士は戦えるのだ。

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