DISSIDIA FINAL FANTASY OPERA OMNIA

DISSIDIA FINAL FANTASY OPERA OMNIA メインシナリオ~幕間~

  • 光の戦士編一「過去と現在の記憶」
  • 光の戦士編二「同質の存在」
  • 光の戦士編三「混沌の化身」
  • 物質の神編「憂鬱な女神」
  • 精神の神編「後悔の神」
  • オニオンナイトの称号を持つ少年編一「悠久の記憶」
  • オニオンナイトの称号を持つ少年編二「光の戦士」

物質の神編

「憂鬱な女神」

 はじめに「クリスタルの願い」があった。
 マーテリアとスピリタス、二柱の神が戦士たちを相争わせる世界を見て、クリスタルは安息を願ったのである。

 神々はその「願い」に応じ、「安息の大地」を創った。
 しかし、その世界に危機が訪れた。「次元食い」と「次元のひずみ」による世界の侵食。その危機に、彼らは多くの戦士たちを呼び集め、世界を安息の地にするべく奔走していた。

「けれど……私には、世界を守れなかった」

 マーテリアは嘆く。世界の支柱となる光のクリスタルコアは砕かれ、残る闇のクリスタルコアも神竜に食われ、世界は核となるものをすべて失った。

 そのとき、「クリスタルの願い」は神を見限った。

 「安息の地」を創りたいという「願い」は神を介することなく、戦士――「光の戦士」が抱いた意志を拠り所として、「新世界」を創造した。
 「願い」は、その「新世界」で真の安息を手に入れさせようとしている。

 しかし、未だ記憶の欠けた戦士たちに安息は訪れるのだろうか?
 マーテリアはかつて、苦しみの記憶がないほうが幸せだと考え、記憶を奪っていた。今度の世界で支配者となった「クリスタルの願い」はどうだろうか? すべての記憶を戻し、受け入れさせるのだろうか。

「彼らは……与えられるばかりではないはず」

 戦士たちはきっと、自らの意志で記憶を求め、取り戻すだろう。「光の戦士」の強い意志が「新世界」創造のきっかけにもなったように、戦士たちは世界でのありようを自ら決める力を秘めているのだ。それは、ともすれば「クリスタルの願い」さえも超える力に成り得るかもしれない。

「人間は、どうすれば安息を得られるのか、どうするのが幸せなのか……私は、知りたい」

 ただ、戦士に休息をとらせたいという想いで創った世界であったが、今のマーテリアには人間に対する興味が芽生え始めていた。
 安らぎの表情を見て、彼女は確かに喜びを感じていた。つらい記憶を乗り越える姿を、頼もしく思っていた。そうした感情がつのり、人間への興味に変わっていたのである。

 しかし、皮肉なことに、今のマーテリアには「支えること」しかできない。
 彼女にできる唯一のこと、物質的な支え――戦士たちの肉体を維持する役割を必死に果たしている。
 また、彼女は精霊モーグリをはじめ、幻獣たちにも助力を願った。もはやそれくらいしか、マーテリアは世界に干渉できないのである。

 「新世界」に渡った戦士たちは、マーテリアをもはや必要としていないかもしれない。
 それでも、マーテリアは彼らを助けたいと願い、できることを探している。
 彼女にとってこの世界は、戦士たちの安らぐ笑顔が見られる、特別な場所なのだから。

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