来たぜ松、リハーサルスタジオによ……。

2023年夏、記録的な暑さを記録した都内某所。
灼熱の外気に負けず熱く盛り上がるスタジオがあった。
『29周年記念コンサート LIVE A LIVE A LIVE 2023 八王子編』のリハーサル現場である。

「アポはねーけど、用ならあるぜ。」いきなり100人斬り想定で正面突破する密偵。
なんと言っても『ライブアライブ』のファンは筋金入りの猛者達が多い。28年越しに発売されたリメイク版で新たにアレンジされた楽曲を聴き込んで耳も肥えている。今回のライブ出演メンバーは多くゲーム音楽ライブでウデを鳴らして来たミュージシャンたち。ライブ用の楽曲も新たに特別にアレンジし直されているというが、果たして実際は……!? これはしっかり見極めてレポートせねばなるまい。

サウンドチェックをするバンドメンバーたち。そしてそれを正面から見つめるのは『ライブアライブ』プロデューサー・時田貴司氏と、オリジナル版コンポーザー・下村陽子氏。まるでサイコキネシスでメンバーの心情まで見通すかのような目線……そう、リハーサルからがっつり監修が入っているのだ。

筆者が訪れたのはリハーサルの初日。メンバーやアレンジャーの顔合わせも兼ねており、開始前には下村氏、時田氏からの挨拶が。
下村氏は「ご一緒できてとても嬉しいです。いろいろなジャンルの曲がありすぎて大変かと思いますが、皆さんとなら本番上手くいくと信じています。」と力強い言葉。
時田氏からは「お馴染みの方も初めましての方もいらっしゃいますね。『ライブアライブ』は発売以降、200名のお客さまにご来場いただいた20周年記念のライブから始まり、ついにリメイクまで発売できました。そして今回はこの大きな会場……本当、一緒にいてくれるメンバーとファンの皆さんのおかげです。ライブではファンの皆さんと一緒に盛り上がりましょう!実は僕が一番楽しみにしているんじゃないかというくらい楽しみにしています」と熱い言葉が送られた。ライブにかける気合いがすでに伝わってくる。

ここからは実際の楽曲演奏リハーサルのレポートになるが、楽しみにしている皆さんのため、すでにライブ公式ページで発表されている”「原始編」「西部編」「功夫編」「幕末編」「現代編」「近未来編」「SF編」「中世編」を彩った楽曲の数々を特別な編成でお届け”という情報以外のネタバレをできる限り控えてお届けする。

こ、これは……『ライブアライブ』ガチ勢じゃねーか!

リハーサルレポートなのにいきなり休憩中の話で申し訳ないが、時田プロデューサーを囲んでバンドメンバーが話している場面をキャッチしたので聞き耳を立ててみた。

何やら「ブリキ大王を動かすのには2,000人必要なので、8月13日はブリキ大王動きますかね!」なんて興奮気味に話している。時田氏が「サンダウンの懸賞金っていくらだっけ?」と聞くと食い気味に「5,000ドルですね!」と返答がくる『ライブアライブ』早押しクイズ状態。一瞬「あれ?今日はお客さんを入れた公開リハーサルだったっけ?」と錯覚するほど濃いトークが繰り広げられていたが、リハーサルが始まると先ほど話していたのは間違いなく凄腕のミュージシャンだった。

こ、このバンド……『ライブアライブ』ガチ勢じゃねーか!

と言うことで『ライブアライブ』ファンの猛者達、今回のライブで演奏をお届けするのは作品愛と腕の両方を持ち合わせた最強バンドだったのでご安心を。

すべてはライブアライバーのために……

演奏が始まると一気に『ライブアライブ』の世界に引き込まれる。
作品自体が章仕立てでオムニバス映画のように個性的なので、ライブでも楽曲が変わると楽器やリズムの違いで全く違う世界に入り込んだかのような気分になれる。一度のライブで生音を浴びながらタイムトラベルや世界旅行をした気分になれてしまうのだから贅沢だ。

例えばパーカッションの演奏だけで「原始編」の世界に入り込んでしまったと感じられるのだが、それも「え!? それって生楽器の音なの!?」という驚きも含めてライブを楽しんでもらえるはず。西部編の楽曲ではマラカスもプロの技で楽しめそうだ。サボらないリアルデロス?それって最強じゃん!

リハーサルの様子だが、元々演奏するために作られた楽曲ではないため演奏はハードだ。早い細かいメロディを再現する技術はもちろん、オリジナル版では限られた音数でもリッチに聴こえるよう、あえてリズムを揃えていないパートもあり、これが実際にバンドで演奏するとなると絶妙な技術を要する。だがその点も原曲の雰囲気を楽しんでもらえるようこだわりをもって忠実に再現していた。演奏はハードだが作品愛ゆえかバンドメンバーも監修側も本気で楽しんでいるのがよく分かる。リハーサル中に「開発当時、1日中実機で曲を再生して問題無いか確認する耐久テストってのがあったんだよ。一晩明けるとROMの関係で1小節ずれることがたまにあるからなんだけど、この「SF編」の曲はズレても分からないくらい複雑で、演奏するとなると大変だよな!」と、時田氏と下村氏から飛び出る開発裏話に大興奮するメンバーの様子も見られた。演者が楽しんでいるライブは良いライブに間違いないのだ。

また、監修からの「今のパート、空耳でオルガンのグリッサンドが聴こえたんだよね。ということは欲しいと思ってる。実際に入れられるかな?」などの高い要求にも柔軟に応えつつ、メンバー自らも「こうしてはどうか」と積極的に提案する様子も見られる。

例えば、アレンジされた楽曲を演奏してみて、メンバー同士で「ここはこうすればお客さんも一緒に盛り上がれるはず」と、ライブアライバーが参加しやすくなるポイントを相談しながら作っていた。どうやったら来場者に楽しんでもらえるかを一番に試行錯誤をしていたのだ。演者も観客からの反応があるとうれしく、ライブももっと盛り上がるもの。音楽ライブにあまり参加したことがないゲームファンでも液体人間ばりに会場一体になって楽しんでもらえるよう熱い議論が繰り広げられていたので、当日はぜひ魂を開放して楽しんでいただきたい。

もう一つのこだわり要素について、サプライズを先にお伝えしてしまうのではと掲載を迷ったが、ライブ参加者にメンバーの熱量の高さを伝えたく、あまりネタバレになりすぎない程度にレポートしたい。

リハーサル時、生バンドの音に紛れて、それとは別のとても聞き覚えのある音が聞こえてきた。
なんと、作中に登場するSE(効果音)をそのまま使用しているパートがあるのだ。

生演奏の良さはもちろんあるが、作品ファンとして聴き馴染みのあるSEが流れると否が応でも高まるもの。ライブ制作担当者に話を聞くと、バンドメンバーから「ここはぜひ作中の音声を使いたい」と直談判され、実際にゲームで使用している音をこのライブのために書き出して提供したのだとか。こんな演出の相談は作品愛がないと出てこないもの。制作担当者もバンドメンバーの熱意に感銘を受けたそうです。作中SEは一体ライブのどこで登場するのか? ぜひそこも楽しみにし、発見したら大いに盛り上がっていただきたい。

また、当日の衣装について相談していたメンバーたちに時田氏が「『ライブアライブ』はバラエティに富んだ個性的な作品なので、揃えすぎずにどこかで個性を出してみては」と提案していた様子をキャッチ。これは当日のファッションも俄然楽しみになった。一体誰がトカゲを巻くのか……(※実際のバンドメンバーの衣装はコスプレの予定ではございません。)

こ、これは……豪華ゲストじゃねーか!

今回のライブには豪華ゲストの参加も発表されている。
「幕末編」でお馴染みの尺八と三味線のデュオHIDE×HIDE。
そして「西部編」に欠かせない口笛奏者のYOKO氏だ。
ということは、リメイク版プレイヤーがゲーム内で浴びるほど聴いたHIDE×HIDEとYOKO氏の演奏を生でお楽しみいただけちゃうってこと!

初回のリハーサルにはHIDE×HIDEとYOKO氏も参加。HIDE×HIDEの尺八・石垣氏は私物の『ライブアライブ』Tシャツとコレクターズエディションのエナメルバッグのコンプリートコーデで、尺八と共に大きくて目立つ赤黒ロゴを2つも背負って会場入り。三味線・尾上氏も到着するや否や、やっと『ライブアライブ』の話できる!とばかりにネタバレ全開で「あのボスがさあ〜!」と語り始めた。流石、2015年の初回の20周年記念ライブから参戦し、リメイク版でついにゲームに実装されただけある作品愛の持ち主だ。口笛奏者のYOKO氏も『ライブアライブ』ファンをSNSで公言し、前回のライブ、そしてリメイク版への参戦が決定した強者である。
客席もステージもライブアライバーだらけかよ!8月13日のJ:COMホール八王子は最高の空間になる予感しかない。

そして忘れてはならない今回ライブの特別ゲスト、影山ヒロノブ氏!「GO! GO! ブリキ大王」を影山氏の生歌で聴けるのは今回が史上初。1994年当時から時田氏と下村氏は「この歌を実際に歌ってもらうとしたら影山さんが良いよね!でもそんなの難しい夢物語だよね……」と語っていたが、リメイク版でついにその夢が現実し、さらに今回のライブでその生歌が楽しめてしまうのだ。こんなに貴重な機会はなかなかないもの。ぜひ会場で、その耳で、その心で、影山氏の生声と魂の共鳴をしていただきたい。

まだ間に合う!『29周年記念コンサート LIVE A LIVE A LIVE 2023 八王子編』

密命のリハーサルレポートは以上。
いかがでしたか?一緒に八王子でウホウホしたくなりましたでしょう?
29年越しに実現した「GO! GO! ブリキ大王」コラボに会場で拳を突き上げたくなったでしょう?

え?チケットの抽選に落選してしまった?ライブの開催を今知った?
そんなあなたに朗報です。チケットは現在一般販売中。(1st公演は注釈付きチケットを販売中)
ただし数には限りがありますのでお気を付けください。買い逃してあの世で自分に詫び続けることがないよう、ご希望の方はお早めに。

なあ……そうだろ、制作陣ッ!!

バンドマスター&一部アレンジ 上倉紀行氏コメント
※バンドマスター: バンドメンバーを集めたりまとめたりする人

とても良い仕上がりになっていますのでお楽しみに!全曲魅力的です。ゲストも豪華です。幅広いジャンルや音色もぜひ楽しんでください。

コンポーザー 下村陽子氏コメント

お越しになった方は絶対に楽しめるライブです。期待は裏切りません。ぜひこの暑い夏を、一緒にさらに熱く盛り上げてください!

プロデューサー 時田貴司氏コメント

29周年記念のライブでは、今までもライブに参加してくれたメンバーに、リメイクで加わったメンバー、そして初めての刺激をくれる新たなメンバーが集結し、まさに最終編のような熱いクオリティになっております。当日をお楽しみに!「あの世で俺に……?」、以上!