俺が……僕が目を開けると、目の前に少年がいた。僕と同じ顔をした少年──魔王が。

「思い出したんだね」

少年が言う。
そうだ、僕は思い出したのだ。アンテナの中で、自分の記憶を見て。

僕の名前はニーアという。

そしてこの暗闇で目覚め、記憶を失っていた僕を案内してくれた優しい少年──彼こそが、僕が魔王と呼んでいた存在。

かつて僕は魔王を憎んでいた。けれど今はもう、そんな気持ちは消えている。許すとか憎むとか、きっと僕らはそんな関係ですらない。
ゲシュタルトとレプリカント。僕らは、鏡合わせのような存在なのだから。