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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第1章] 1-11

撤退

担当:ルーファス

僕は、慌ててハンカチを鼻にあてた。
あの石柱が浮遊する空間が突然、もと居た下水道の風景に変わり、あの強烈な臭いも戻ってきたのだ。
するとあの空間は、僕たちが集団で幻覚を見ていたわけではないことになる...。

スティールとサンディが、ともに武器を構えながら大きく肩で息をしている。
敵将のガイラも大剣を構えてはいるが、配下の兵たちはうずくまっている。

まだ戦いは続くのか...、念のため、僕はクレアにエーテルを1~2本わけてもらった。

  ***

いつの間にか、土の将ガイラの側に、あのサージとかいう副将の姿が見て取れた。
僕たちを足止めしてエルヴィスさんたちを襲ったのではないというのか...。

どうやら、ガイラはもう一戦したがっているようだが、副将のサージが満身創痍の部下たちを示して制止しようとしているらしい。

サージの説得を受けていたガイラが、一度口惜しそうにうつむいた後、キッっと僕たちの方を向いて叫んだ。
「ポン・コーツ、クレア、サンドラ、ルーファスめ...! 今日のところはここまでにしてやる...!」
次に会った時こそ必ずや討ち果たしてくれん...そのようなことを、大時代な口上をきった後、左手の指輪を宙にかざした。

土の将ガイラとその兵士たちは、光に包まれ、やがて姿を消す...。
ヴェルメリオへ帰ったということか...。

...ということは...?
え~~~、あの甘苦いエーテルを2本も飲んで戦いに備えたっていうのに...。
「だったら、クレアを手伝ってやれよ」
スティールに促されて見てみると、クレアが体中に傷を負ったサンディの手当てに必死になっている。
サンディは、いつも僕たちの盾となって前面に立ってくれていて、こうした傷も珍しくはない。
僕は、昔学んだことがある治癒魔法(専門ではない)を思い出し、クレアを手伝った。

  ***

ルミナが姿を現して、暗闇に立つアモナの方を指さした。

この目の前にいるアモナが、霊魂だとは...どんな表情をすればよいのかわからない僕を見て、アモナは少し照れ笑いするように話し始めた。

「...あの日ね、研究所にいるお父さんに荷物を届けに行ったの...」
それは、僕がエルヴィスさんから聞いたものとほぼ同じ内容だった。

「あたしね、死んじゃったみたいなの...」
アモナが、涙をぽろぽろ流しながら必死で微笑もうとしている...。
僕は...、僕は、何もしてやれなかった...。

「それから...」
アモナの父のロディさんがずっと怖い顔をするようになり、やさしかった母親のリリーさんがロディさんと別れて、森に近づく者に矢を射かけるようになり、いつも遊んでくれていたガラハードは、ずっと悲しい顔をしたままに...。

アモナは、自分が原因で、3人が毎日を辛そうにしていると思っているらしい。
そんなはずはない、そんなはずは...。

僕は、3人を困らせ、この町をこんな風にしてアモナを泣かせる"嫌なヤツ"をなんとかしてやろうと申し出たが、アモナは、「それは、エルヴィスさんたちの役目」とかぶりを振る。

  ***

ルミナが姿を現す。
僕たちが、『息吹』を得るためには、『摂理の塔』の入り口を守るというガラハードを突破しないといけない。
エルヴィスさんたちでも歯が立たない男...相当な苦戦が予想された。

僕たちがうつむくのを見て、アモナが顔を上げる...。
「ガラハードお兄ちゃんは、あたしが...。あたしに、任せて...」