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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第4章] 4-2

焚火

担当:クレア

ゴリーニ村で一泊した私たちは、早朝、まだ朝靄が晴れる前に村を出立した。

サンディは、村人たちが獲ってきたという『泥蟹』の鍋をふるまわれご満悦だったが、ルーファスはまだ寝足りなそうだった。

村での補給で、数日ぶりにパンパンに膨らんだカバン...バランスが良くなった私の足取りも軽く、ブブちゃんも嬉しそうだった。

  ***

血砂荒野に入って日が暮れた後もしばらく進み、夜更けになってようやく野営した。
手早く食事を済ませ、交代で仮眠に入る。
見張りをサンディと交代し、ウトウトとしかけた時、隣のスティールが跳ね起きる気配がした。
荒い呼吸で、胸元の火傷痕を押さえている...。

「また、悪い夢を見たの...?」
スティールの火傷痕は、寝ている間に掻きむしったのか血が滲んでいる...。

「ツバでもつけておけばいい」...そう言い張るスティールだったが、いつもの級長特権で治療をし始める。

ブブちゃんに頼んで取り出した消毒液も傷薬も、ゴリーニの船乗りが愛用する相当に痛みをともなう物なのにもかかわらず、スティールは声ひとつ漏らさない。

傷口の処置を終えると、スティールは、焚火に向かってぽつりぽつりと語りだした...。

  ***

9年前、スティールが15歳になったとされる日(盗賊団に拾われた日が、スティールの誕生日だった)、盗賊団の習わしで成人の仲間入りをした。

そしてその日は親方との約束していた、スティールの出生の秘密が明かされる日だったという。

ところがその親方は、実子のビリーによって殺害されてしまう...。
出生の秘密とともに、俺に手渡すはずだった『形見の腕輪』はビリーに奪われ、バーナーで焙られた腕輪を押しつけられてできたのが、蜘蛛の形をした火傷痕...。

スティールによれば、親方が戦場で幼いスティールを拾った当時、蜘蛛の紋章を掲げていた盗賊団が3つほどあったそうだ。

スティールの生みの親は、その3つの盗賊団にかかわりがある者かと想像し、いろいろ調べてみたが、ひとつはジョロウグモ、残りの2つもタランチュラの意匠で、スティールの胸についている"地蜘蛛"のような形状とは似ても似つかない。

親方が殺害されて、フランクリン盗賊団は、解散となった。
スティールは、散り散りとなったかつての仲間に会いに行き、いろいろと尋ねてみたそうだが、親方はスティールの出生については誰にも秘密を明かしておらず、まったく手がかりがない状態のまま、今に至るらしい。

スコーピオン・ビリーは、スティールのお養父さんの仇であるだけでなく、出生の秘密をも握っていることになる...。

「...いや、もうエーテルはいいってば...」
ふいにルーファスの寝言が聞こえ、私たちの会話はそこで止まった。

東の空が白みだし、焚火のはぜる音だけが辺りに響いていた...。

  ***

ブラスの街に到着して早々、私たちはデバコフ教授を訪ねて大講堂へ向かった。

カシオタ海岸の惨状、そして、ゴリーニ村が食糧をカシオタに届けるべく動き出してくれていることを報告すると教授は、ブラスの街からもゴリーニ村への支援物資を届けることを約束してくれた。
カシオタへの支援でゴリーニ村の倉庫が空になっていると踏んだ教授の計らいだった。

それともうひとつ。
クレアたちの『地下神殿の第5次調査申請』を通しておいてくれたというのだ。

教授は、少し真面目な顔つきでルミナに呼びかける。
渋々姿を現したルミナに、カシオタの高潮が水の力のバランスが崩れているせいなのか、今回もまた異界から水の息吹を入手する必要があるのかと尋ねた。

そして、水の息吹を入手したことによって、現地のクリスタルが枯死してしまうことが決してないということを確かめると、ルミナに私たちの引率を頼み、これからゴリーニ村への支援を役人にかけあってきマス...と、スタスタと去っていってしまった。