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2023.03.01

【開発ブログVol.6】リズムゲーム設計

  • 鈴井 匡伸(シリーズディレクター/indieszero

  • 好きなFF:FF10(ストーリーに圧倒的なドラマを感じました)

  • 好きなFF楽曲:FF15 Veiled in Black(主旋律に加わるピアノの力強さと切なさに心惹かれます)


こんにちは、TFBLでシリーズディレクターを担当した鈴井匡伸です。
今作ではプロジェクトの立ち上げから、ゲーム全体の大まかな監修や業務全般の窓口を担当しました。

今回は、リズムゲームの設計について過去作からの経緯も踏まえつつ、ご紹介しようと思います!

シアトリズムのリズムアクションは初代から少しずつ変化してきました。
大枠としては第1回のブログ『シアトリズムのなりたち』でも触れましたが、シアトリズムのリズムアクションのシステムの大前提はFFの代表的なシーンを音楽と共に再現することにありました。

簡単にMSごとに紹介させてください。

まずはBMSです。

画像①.png

今作のBMSはカーテンコール(3DS)とオールスターカーニバル(AC)のそれぞれの良さを両方活かす形でシステムを設計しました。画面はカーテンコール同様にFFの戦闘シーンのように固定されたモンスターとのバトルをリズムゲームとして楽しんでいただくシステムになっています。

できるだけ、オリジナルの楽曲の流れるシーンを思い出せるような構成になるよう、限られたリソースを元に知恵を絞って各場面を作成しました。シリーズで初めてひとりパーティでも出撃できるなど、原作再現をより楽しめる工夫もあります。

トリガーの細かい種類(タッチトリガーの同時押し、ツインスライドトリガーなど)や入力方法はオールスターカーニバルでの制作経験を活かしつつ、カーテンコールユーザーでも遊びやすい組み合わせの範囲で作られています。細かい点ですが、BMSでも入力の必要はないもののホールドミッドポイントという拍にあわせて音が鳴るポイントがホールドトリガーのホールド中に登場したりします。

つぎにFMSです。

画像②.png

今作のFMSはオールスターカーニバルのFMSがベースになっています。
楽曲の抑揚にあわせたホールドトリガーの波打つ動きをスライド操作で気持ち良く入力できるようカーテンコール時代の操作感も参考に調整を重ねました。

RPG要素については、別のブログでご紹介予定ですが、カーテンコールとの一番の違いはFMS中にも時折モンスターが登場してバトルになることでしょうか。その音楽が流れる原作のフィールドを冒険していたときの感情を想起してもらえるような場面作りや、譜面作りを心がけました。

最後にEMSです。

画像③.png

今作のEMSはカーテンコールとは異なりBMSと同じ操作感で遊べるシステムになっています。
カーテンコールまでのような音や動きにあわせてジャストサークルが動くシステムも楽しいですが、TFBLは大画面でもお楽しみいただけますので、オリジナルの迫力ある映像を楽しみながら、トリガーの動きも目で追いやすく入力タイミングがとりやすいシステムになりました。譜面の難易度も映像を見ながら遊べる難易度で仕上げられています。

続いて、ここからは...。
操作方法について、シアトリズムの歴史とあわせてご紹介します。

初代シアトリズムは、タッチペンでの操作に特化したゲームとしてシステムが作られました。
タッチペンで画面をタッチする、スライドする、長く押しつづける...といった手の動きが気持ち良くなるような入力体験と楽曲のフレーズの音のイメージがうまく重なり合うことで気持ちよさが生まれるような体験を目指しました。

画像④.png

2作目となるカーテンコールでは、タッチ操作はそのままにボタン操作も可能にして、スライドパッドの入力でもスライド操作が気持ち良く感じられる指の動きなどを意識した譜面作りを目指しました。いろんなスタイルで入力できることでプレイスタイルや遊べる場所(電車の中や寝転がっても遊べるなど)が広がりました。

画像⑤.png

アーケード版となるオールスターカーニバルでは、2個のジョイスライダーのカチッとした方向入力と、強く叩ける2個のボタンの組み合わせを活かした譜面を作りました。

画像⑥.png

今作ファイナルバーラインでは、カーテンコール時代のボタン操作感を拡張する形で、LRボタンの操作も含めたボタンの同時押しとスライド操作の組み合わせで手の動きが楽しくなるような譜面を目指しました。譜面作成のノウハウという点ではオールスターカーニバルの経験がより活かされています。譜面データを作成するエディットツールもシリーズを重ねるごとに、どんどん便利になって制作しやすくなっていきました。

画像⑦.png

タッチペンでの入力では同時にふたつの入力をしてもらう体験はできません。
ですが、ボタン操作でも手の動きと音楽の連動で気持ちよさや、音楽に乗った体験を楽しんでもらえる譜面作りのノウハウが貯まっていくことで、今作ではより広い層に楽しんでもらえるリズムゲームを作ることができたと思っています。

僕は個人的には難易度『熟練』が一番好きです。
プロデューサーのハザマさんもプレイスキル的に『熟練』が一番楽しく遊べる難易度とおっしゃっていました。

画像⑧.png

今後のブログで「譜面」についても詳しく紹介していきたいと思いますが、熟練の譜面には極力入れないトリガー組み合わせ操作など、細かいレギュレーションを決めた上で譜面を作成することで、カーテンコール同様に、幅広いプレイヤーに楽しんでもらえるシアトリズムになっていると思います。

ちなみにですが...お察しの通り『超絶』は本当にリズムゲームが得意な方向けです!

画像⑨.png

FF音楽が大好きで、適度な集中力で音楽に乗って楽しみたい自分みたいなプレイヤー層の方には、全力で『熟練』譜面を推したいと思います!(慣れてきたら徐々に『究極』譜面の難易度値が低いものからチャレンジすると適度に上達が感じられて良いと思います)

TFBLでは、コンフィグで設定できるトリガー入力が早かったかどうかを入力結果にあわせて表示できる機能や、リザルトでの入力タイミング傾向の表示など、リズムアクションをより上手く遊べるようにプレイを改善するための指針となる情報の表示を追加したりしました。

画像⑩.png

FFのはじまりはコマンドバトルのRPGでアクション要素がありませんでした。
そして、シリーズは35周年ということで、幅広い年齢層のお客さんがファンとして存在します。
必ずしも皆がリズムアクションが得意なわけではない前提で、FFの楽曲が好きな(好きだった)人にひとりでも多く楽しく遊んでもらえる、手に取ってもらえるようなリズムアクションゲームにしたいという思いでTFBLは開発されています。はじめは難しいなと思う人でも沢山の楽曲を遊んでいるうちに知らず知らずに上達していく...そんなゲームになっていますので、ファイナルファンタジーの楽曲に思い入れがあるすべての方に遊んでもらえれば嬉しいです!

おまけ:

話をわかりやすくするためにiOS版や他のシアトリズムシリーズや関連タイトルには触れていませんが、それらの知見もすべて活かした総決算、集大成となる1作が、このファイナルバーラインと思っていただいて、まったく問題ありません!

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