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BLOG開発ブログ
開発ブログ
2021.12.10
開発ブログ vol.001 アートディクター・キャラクターデザイナー 豊田 洋輔
みなさん、はじめまして。本日より『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』(『BDBL』)開発ブログをお届けして参ります。
本ブログでは、普段あまりお見せすることができない開発チームの制作コンセプトやデザイン意図、非公開資料や開発中のエピソードをご紹介できればと思っております。
開発ブログ第1回の今回は「キャラクター」に焦点を当て、「ブレイブリー」シリーズのオールスター作品の制作にあたり、こだわった点や大変だった部分、実際の制作工程などをキャラクターデザイン担当の豊田洋輔(スクウェア・エニックス)にお話をお聞きしました。
アートディクター・キャラクターデザイナー
豊田 洋輔 Yosuke Toyoda
■PROFILE
東京造形大学卒業後、渡英。University of the Arts Londonを経て、ニューヨークParsons School of Designでの留学ののち帰国。大手ゲーム会社に企画として入社、デザイン業務もこなしながら、コンシューマ、ソーシャル、アーケードと幅広いジャンルのプロジェクトを経験する。退社後、株式会社コロプラにてアート、企画として勤務。現在は、スクウェア・エニックスにて新規ゲームのキャラクターを中心にアートディレクション・デザインなどを担当する担当する。バンタンゲームアカデミー特別講師。
■"統一感"を持ってのビジュアル作りが今作のコンセプト
──「ブレイブリー」シリーズの10周年記念企画として発表された本作には、オリジナルキャラクターをはじめ、シリーズのキャラクターが数多く登場します。そんな『BDBL』のキャラクターデザインを手掛けるうえで大切にしたことはなんですか?
豊田:
「ブレイブリー」シリーズのオールスターキャラクターが集う今作では、Nintendo SwitchやSteamで発売された『ブレイブリーデフォルトII』を基準にしてリッチなビジュアルで表現したい、というのがテーマにありました。
その中で、いかに"統一感"を持ってビジュアル作りをするかというのが今回のキャラクターデザインにおけるコンセプトでした。
──"統一感"ですか。
豊田:
はい。『BDBL』には、本作オリジナル・シリーズ作品リメイク・『ブレイブリーデフォルトII』・例外(その他)の4種類のキャラクターが登場します。
原作が異なりますので、瞳の作りや肌質などキャラクターの顔を見ても全然違いますし、装飾の質感や色合いもバラバラ。そのままひとつの作品に入れ込むと違和感がでてしまうんです。
ですから、"統一感"を出すことで、彼ら彼女らは同じ世界に生きていると感じてもらい、作品の世界に没頭していただきたい。そんな想いがありました。
──"統一感"を出すうえでこだわったポイントはどこでしょうか。
豊田:
「ブレイブリー」シリーズは10年の歴史がありますから、当然ながらビジュアルの作りにバラつきがあります。大きく変えてしまうと原作からかけ離れてしまいますし、逆にそのままだと違和感が大きくなってしまう。
そこで、本作オリジナルキャラクターのビジュアルを他シリーズ同士の間を繋ぐような、懸け橋となるようにデザインすることで、"統一感"が出るように作っています。
■キャラクターそれぞれ個別でモーションを設定。個性を感じてほしい
──本作に登場する3Dキャラクターは実際にどのように作られているのでしょう?
豊田:
大きく分類すると、モデリング・モーション・演出の3つの工程で作っています。
まず、モデリングは一番最初に行ういわゆる"素材作り"です。キャラクターの顔の印象が決まるため、"統一感"を作るうえで一番大事な工程でもあります。
──パーツとしてはどの部分が難しいんですか?
豊田:
とくに"瞳"でしょうか。装飾の質感やシェーダー(※1)は数値的なものなのでその数値をある程度揃えれば"統一感"はでます。しかし、瞳は印象によるものが大きいので、大きさや形など苦労して導き出したところです。
本作オリジナルキャラクターであるサンドラの瞳のバランスの調整が難しくて、モデリングの際にはとくに苦労しました。
※1......3次元コンピュータグラフィックス(CG)において、3Dオブジェクトをディスプレイに映し出すためのシェーディング(陰影処理)などのプログラム。
──瞳が変わるだけでここまで印象が変わるとは。比べてみないと気づきにくいですが、並べてみると全然違いますね。
▼サンドラのデザイン方針確認▼
豊田:
次にキャラクターの動きを作るモーションと、エフェクトを加えて実際にどう見えるか演出する工程があります。
キャラクターが生き生きしているかどうか。仕草でそのキャラクターっぽさを表現できるかはこの工程で決まります。
──モーション、演出でこだわっているポイントを教えてください。
豊田:
登場シーンやバトル中の演出など、時間的には数秒ほどの短時間の動きなのですが、ユーザーの方が最初にキャラクターと出会う(認識してもらえる)場所でもあるので、一瞬でそのキャラクターの魅力を感じてもらえるようにと、意識して作っています。
今作では、プレイアブルキャラクターはもちろん、モブキャラクターやモンスターに至るまで個別でモーションを設定しているので、キャラクターひとりひとりの個性を感じて、興味を持っていただけるとうれしいです。
▼クレアの初期演出案▼
ここから何度も何度も調整を重ねて、今の完成版に至りました。
▼スティールの初期演出案▼
コンテをしっかり作られていました。
■模写をくり返し掴んだ「ブレイブリー」らしさ
──キャラクターデザインを手掛けるなかでとくに苦戦した、大変だった部分について教えていただけないでしょうか。
豊田:
個人的に一番苦労したのは主人公4人のイラストですね。もともと本シリーズとはまったく異なるテイストのイラストを書いていたこともあって、なかなか「ブレイブリー」らしさを出せなくて苦戦していた時期がありました。
今振り返ると、腰のくねりや表情など、どこが原因か見える部分もあるのですが、当時は非常に悩みまして......。
そこで、それまでの「ブレイブリー」シリーズのイラストをなぞって模写をしたり、等身を研究したりするようになったんです。
──どのくらいの練習されたのでしょう?
豊田:
他の業務と並行していましたが、期間としては半年くらいでしょうか......。ひたすら模写をくり返していました。
そうしていくうちに、少しずつですが、「ブレイブリー」シリーズの独特の雰囲気を掴めるようになってきて。ウエストがキュッとくびれていてお尻は大きめで上がりめ、そして脚長。そんな現在、描かせていただいているものにたどり着いた感じです。
──豊田さんの本作にかける想いのすごさが伝わってきます。その他、開発チームの熱量が伝わるようなエピソードがあれば教えてください。
豊田:
熱量とは少し違うかもしれないのですが、CBT後に開発会社さんのモデリング担当の方から「このキャラクターをこう直したいです」とご提案いただいたんです。しかもプレゼン資料もガッツリ作ってくれて。アニエスというキャラクターなのですが、本当にかわいくなりました。
──こう見比べると全然違いますね。
豊田:
顔の輪郭やバランスを調整しています。本当によいものを作ろうとしてくれているんだな、と感じてすごくうれしかったです。普段はこのような逆提案いただくことってなかなかなく、いい関係を築けた証だとも思います。
ありがたいことに、キャラクターデザインについて、ある程度ご好評のお声を多くいただきましたが、アニエスをはじめ他のキャラクターも可能な限りクオリティアップできるように気合を入れて開発に取り掛かっています。
──ありがとうございます。最後にリリースを待ち望んでいるユーザーの皆様にメッセージをお願いします。
豊田:
皆さまに楽しんでもらえるものをお届けできるよう、チーム一同全力で現在開発を進めています。開発会社さんに恵まれ、自分自身もイラスト研究を経て、手応えも感じているので、ぜひ期待して待っていてください。
また、ゲーム全体としても「これぞRPG!」という、遊んで楽しいゲームになっています。ぜひお楽しみにしていただければ幸いです。
※Nintendo Switchのロゴ・Nintendo Switchは任天堂の商標です。