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BLOG開発ブログ
開発ブログ
2021.12.23
開発ブログ vol.002 シナリオライター 網代 恵一
みなさん、こんにちは。本日は『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』(『BDBL』)開発ブログ第2回をお届けして参ります。
本ブログでは、普段あまりお見せすることができない開発チームの制作コンセプトやデザイン意図、非公開資料や開発中のエピソードをご紹介できればと思っております。
開発ブログ第2回の今回は「ストーリー」に焦点を当て、本作メインシナリオライターの網代恵一氏にお話を伺いました。『BDBL』のストーリーにおけるコンセプトや工夫した点など、シナリオ制作の舞台裏をお届けします。
シナリオライター
網代 恵一 Keiichi Ajiro
■PROFILE
東京造形大学卒。ゲームとは無関係な職をいくつか経験した後、旧株式会社パックインビデオにデザイナーとして入社。株式会社ビクターインタラクティブソフトウエア、マーベラスソフトと社名が変わる中、『フィッシュアイズ』、『ぬし釣り64』、『アクアパラダイス』、『夜想曲2』、『月の光』、『牧場物語 しあわせの詩』などのプロジェクトに、デザイナーや企画として参加する。
2009年シリコンスタジオ株式会社とフリーランスのプランナーとしての契約を結び、『3Dドットゲームヒーローズ』のマップデザインを手がけ、後に「ブレイブリー」シリーズと出会う。
■お祭り感だけでなく"1本大きな筋の通った物語"
──「ブレイブリー」シリーズのキャラクターが数多く登場する本作ですが、ストーリー全体として何かコンセプトは設けられているのでしょうか。
網代:
最初にスクエニさんから話があった際に、「ブレイブリー」シリーズ作品のキャラクターたちが数多く登場する作品ながらも、お祭り感だけでなく"1本大きな筋の通った物語"がほしいと承った記憶があります。
あとは、「ブレイブリーデフォルト」のテーマである「勇気をもって従わない」を体現できるようなストーリーは意識しました。
──今作においても「勇気をもって従わない」要素は盛り込まれているんですね。
網代:
ただ、最初から「勇気をもって従わない」というテーマで書こうとして書いているわけではないんです。
個人的に「勇気をもって従わない」を端的に表すと「ギャップ」なんですよ。散りばめた伏線を辿っていくと、ユーザーの方が正解だと思っていたものが最終的に違っていて、結果的に「従わない」選択が正解だった......それが「ブレイブリー」シリーズの物語だと思っています。
──ギャップの物語ですか。
網代:
はい。そのギャップを楽しんでいただくためには、合点がいくように設定を作り上げることがすごく大事なんです。伏線まわりに齟齬があったり、「そんなわけないじゃん!」と思われてしまったら、一発でアウトなので。
■年表、図解、地図──ストーリーの構想は資料作りから着手
──作品の設定を作り上げるうえで工夫されたポイントがあったら教えてください
網代:
実際にストーリーを書く前に、シリーズ作品で起きた出来事を精査したり、『ブレイブリーデフォルトII』の物語を事前に入手してチェックしたり、それらの情報を検索できるように年表、図解、地図などの形でひとつのファイルにまとめたりしました。
とくに『ブレイブリーデフォルトII』については開発に関わっていなかったこともあり、キャラクターたちの"一人称や二人称"、"好きなもの嫌いなもの"、"重大なテーマに対してどう思っているか"など記載された資料を隅から隅まで読み込みました。
▼ストーリー構想のために作った設計図(一部)▼
──年表をはじめとした資料をいつでも確認できる状態にすることで、設定の齟齬が起きないようにしている、と。
網代:
そうですね。作り手としては、このキャラクターにはこのゴールに向かってほしいと願いつつも、書いていくとキャラクターがゴールに向かわないケースがよくあるんです。
そうなってくると、キャラクターに歩ませている道が間違っていることになる。なら道を改造してあげないといけない。その際に齟齬が発生してしまわないように年表が必要なんです。
例えば、今作に登場する"来訪者"と呼ばれるシリーズ作品のキャラクターは、異なる次元からこの世界にきていて。その中には『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』のキャラクターの姿もあるんですが、それぞれ別の時系列の存在なんです。
──時系列が別とはどういうことでしょう?
網代:
ディズとイデアは『ブレイブリーデフォルト』の2章の開始時からきていますが、リングアベルは序章のディズたちと出会う前の状態できている。アニエスはまた3人とは別の時系列からやってくる設定です。
そうなるとこの4人が出会ったときにどのような会話になるのか。片方は知っているのに片方は知らない。片方はもしかしたらある事件を知っているのに片方はそのことを知らない。そんなお話っておもしろそうじゃないですか。
──どんなやりとりがされていくのかワクワクします。
網代:
そのためには、年表と睨めっこしつつ、鬼のように複雑なパズルを組むようにストーリーを書いていく必要があったんです。
▼キャラクターたちのサイドストーリーをパズルのように組み立てる▼
──複雑な物語を作り上げるうえで年表は必要不可欠なんですね。
網代:
それもありますし、じつは、年表には時系列を確認できる以外にも重要な役割があります。
年表には、その年に起きた出来事と並列して、登場キャラクターの年齢が"その年にいくつだったのか"わかるようにしています。これがすごく大事で。
──と言いますと?
網代:
例えば、40歳を超えてからの3歳差はそこまで違いはないですが、中学生くらいのときの3歳差ってものすごく大きいものじゃないですか。
キャラクターがその年齢同士のときにどう思い、どう行動するのか。年表で照らし合わせないとついつい忘れてしまいがちなんです。
▼その時の出来事とキャラクターの年齢を照らし合わせる年表(一部)▼
■シリーズファンも、シリーズを知らない方も楽しめるストーリーを目指して
──本作のストーリーにおいて注目してほしいポイントを挙げるとすると、どのあたりになるのでしょう?
網代:
楽しみかたは人それぞれだと思うので、自分からあえて「ここ」というのはとくにないです。
ただ、スクエニさんからのオーダーで「あり得ない組み合わせの物語がほしい」というのがあり、普通だったら絡まないような予想外のキャラ同士のやりとりを盛り込んでいます。そこはオールスターキャラクターゲームならではのポイントなのかなと。
──それは楽しみです。ちなみにストーリーのボリュームがどのくらいかというのはお聞きできたり......?
網代:
そうですね......具体的にどのくらいというのは、実際にリリースされたときのお楽しみとさせてください。
ただ、ひとつの物語としてしっかり山場を用意していますし、今作オリジナルキャラクターの4人の主人公たちそれぞれが活躍する場面も散りばめています。ボリュームとしてもものすごい量になっているので、期待していてください。
──ありがとうございます。では最後にリリースを待ち望んでいるユーザーの皆様にメッセージをお願いします。
網代:
「ブレイブリー」シリーズのオールスターキャラクターが登場する今作ですが、ストーリー的にはシリーズを知らない方でも楽しめて、シリーズファンの方ならニヤッとできるようなストーリーを目指して書いたつもりです。
一部の方からは「微笑みながら後ろから金槌で殴るようなシナリオ」を書く網代だと警戒されているのですが、ちゃんと殴るので安心してください(笑)。そんなに警戒しないで、油断して待っていただけると幸いです。