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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第001章] 1-17

人助け

担当:ルーファス

悲鳴をあげた若者が、ならず者たちに囲まれるのが見えた。

若者は、錬金の街ブラスのデバコフ教授とテロール将軍に大切な書状を届けないといけない。どうか見逃してほしいとならず者たちに懇願している。

聞き覚えのある2人の名...。
僕たちは顔を見合わせ、サンディとスティールは小さくうなずき合っている。

どうやら、いつもの茶番が始まるらしい。
手荒なことはあまり好きではない僕だけど、最近の2人の、主にならず者相手に仕掛ける茶番劇を、どこか楽しみにしているところがあった。

ならず者たちは、若者の懇願...手紙にだけは手出しをしないと言いつつ、旅の路銀すべてをここに置いてゆくよう無理難題を突きつける。

そこに、少しだけニヤついたスティールが歩み寄る。
「なんだいチビ...!」
ならず者のひとりは、リンゴを片手で割ってみせてスティールを威嚇する。

その様子を眺めていたスティールは振り返り、サンディを呼ぶ。
「お~い、サンディ。お前が持っているそれはなんだい?」

ならず者たちにのっしのっしと歩み寄るサンディ。手にはその辺で拾ったというレンガを持っている。
「そいつをどうするつもりなんだ...?」
「こうするのさ...!! ふんっ!!」

サンディが指に力を込めると、レンガはまっぷたつに割れ、足元で乾いた音を立てた。
サンディの怪力におののくならず者たち...。

最後の仕上げにとばかりに、スティールが仲裁を受け入れるのか、とっとと逃げるのか、それとも無謀にも俺たちと戦うのか? と選択を迫る。
ならず者たちの目は泳ぎ、腰は引けている。

うむ、見事な茶番劇だ...。
僕が感心しかけたその時、ならず者たちの仲間と思しき男たちが数人近づいてくる。

「へへへっ、形勢逆転だなぁ...!」
少しうわずったならず者の言葉を鼻で笑うスティール。

クレアとうなずき合って、僕も茶番劇の中心に向かって歩き出した。

  ***

よほど逃げ慣れているのか、ならず者の「お、おぼえてろよ~~っ!!」がやけに板についていた。

「危ないところを、ありがとうございました」
丁寧に礼をする若者とその背後にいる無口なローブ男...。
僕たちがデバコフ教授の教え子であることや、テロール将軍とも知り合いであることを告げると、若者の表情は喜色に染まり、ローブ男の瞳は妖しく光ったような気がした。

「わ、私、イトロプタの街の市民代表、クリッシーといいます...!」
若者の名乗りを聞いて、スティールの表情がみるみる変わってゆく。

「チッ...、イトロプタの関係者だったのかよ...」
スティールは大きく舌打ちして、クリッシーに背を向けた。