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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第002章] 2-3

二度目の異世界転移

担当:ルーファス

「ふむ...、この人の話を聞いてやってくれ...でスカ」
最近僕は、デバコフ教授の表情がわかるようになってきた気がする。
もちろん、今の教授の表情は、困惑...あるいは厄介...といったところだろうか...。

将軍の手紙を読み終えた教授は、僕たちの方を向いて、
「私は、これからこの街の西にあるゴリーニ湖へ出張しないといけまセン」
...と言い、次いでクリッシーに向かって、
「あなたの話は道すがら聞きましョウ。それでよろしいでスカ?」
...と確認をとった。

あのクリッシーと一緒にブラスの街に入ったローブの男は、ここ大講堂には来ていない。城門で尋問を受けた後にクリッシーと別れたきりであるという。

  ***

「ゴリーニ湖へはどういったご用件で...?」
僕たちは、朝市(の売れ残り組)のサバ缶売りの女性から、ゴリーニ湖の濁りがひどくなってきている噂は聞いていた。
教授の出張と何か関係があるのだろうか...。

教授のゴリーニ湖出張の名目は水質調査だというが、その本質は、"ゴリーニ湖の濁りを教授の錬金術でチャッチャとどうにかしてほしい"という共和国政府と新都から赴任してきているブラスの役人たちの、錬金術を軽くみている姿勢にあるという。

表情を曇らせたクレアが同行を申し出るも、教授はかぶりを振った。
「先の地下神殿復旧では、左足のヒレをもっていかれた。今度は術で何を失うことヤラ」...と謎のつぶやきを残して、留守番を命じたのである。

  ***

ザレルの都、大都の地下深く『繭の玉座』では、先の出撃で負った傷がすっかり癒えた土の将ガイラが、大神官に目通りしていた。

ガイラは、実家から20名ほどの手練を送ってもらい、副将サージも万全とはいえないが出撃に問題はない。

大神官は、先の遠征ではブラスの連中に先を越された。此度は我が方で先手を取る...と、二度目の異世界転移をガイラ主従に命じた。

行く先は、雪と厳しい山岳に閉ざされ、不死の国と謳われた『エタルニア』の地であるという。

  ***

デバコフ教授に留守を頼まれたクレアだったが、二度目の『賢者の間』調査申請を提出したところ、あっさりと承認された。
教授が出張から戻ってきてから...と出発を延期しようとしたところ、機を逃してはいけまセン...と、謎の説得をされ、僕たちは教授の出張とほぼ時を同じくして、地下神殿の賢者の間へと出発した。

  ***

スティールが近道を見つけたおかげで、以前に比べて半日ほど早く地下神殿の行軍が捗っていた。

そろそろ野営をしておこうか...と皆が荷を下ろしかけたところ、クレアのランタンが突然輝きだしてルミナが姿を現す。

「たった今、誰かがあの世界に向かったわ...!」
またザレルのヤツら...あの土の将ガイラという、やたらと張り切った娘が僕たちに先んじて異世界へと向かっているというのか...。
どういう仕組みなのかはわからないが、ルミナにはそれがわかるらしい。

悠長に野営なんてしていられない。
僕たちは、下ろしかけた荷を再び背負い、先を急ぐことにした。
(僕が作ったハーブティをみんなにごちそうするハズだったのだが...)

  ***

賢者の間に到着した僕たちは、魔法陣の外側にそれぞれ印をつけた後、ルミナに促されて魔法陣の上に集まった。
スティールが、何やらもたもたしていて、ルミナに急かされてようやく魔法陣の上にやってくる...。

曰く、自分も異世界転移した証を仕掛けてみようかと、一晩寝ずに考えてみたという。
見れば、何かごちゃごちゃ...いや、ぐるぐる?した装置が備えてある。

あれはいったい何なのか...僕たちの質問などお構いなしに、ルミナは念じはじめ、魔法陣が輝きだす...。

「見える、見えるわ...! 万年の雪に閉ざされた、不死の国と謳われし病み喘ぐ国土が...。血塗られた道を歩む者たちの幼き日々が...」
ルミナが発した言葉の意味を噛みしめているうちに、僕たちは光に包まれた...。