BRAVELY DEFAULT BRILLIANT LIGHTS
REPORT錬⾦ゼミ活動レポート
[第004章] 4-6
動向
私たちは、それぞれがサヴァロンの町を見て回り、情報を集めて戻ってきた。
私は、洗濯場にいたおばさんたちに、洗濯の仕方を教わりながらいろいろ噂話を聞いてきた。
サヴァロンの町に水があふれだしたのは2年前のことで、リオン王のお姿がみえなくなったのは、それよりも少し前のことらしいこと...。
そしてサヴァロンの名物料理について事細かに調べてきたというのにスティールに「そういうのは後にしな!」とたしなめられた...(しゅん...)。
***
次に情報を披露したのはルーファス。
ルーファスは、サヴァロンを訪れる交易商たちのたまりで情報を仕入れてきていた。
リオン王が行方不明だというのは、国の内外を移動する交易商からすると公然の秘密みたいなもので、カストル王子の弟のポール王子も諸国漫遊の旅から戻ってきていないのだという。
国王とともに、弟王子の行方もわからない...どうみても不穏な匂いのするこの国を、怜悧なカストル王子が、議会相手にひとりで国政を切り盛りしているらしい。
***
サンディは、町の北にある『遊技場』を調べてきたらしい。
とても豪勢なところで、見るからに立派な調度品で飾られ、フロアの真ん中には噴水まであるという。
いろいろなゲームを楽しめるらしく、サンディは『B&D』というカードゲームに興味を引かれたのだといい、スティールが羨ましがっていた。
サンディが対戦した常連客から聞き出した情報は、こんな感じだった。
10年ほど前、『バーナード』という男が、先年自殺したシルバ議員の屋敷を改装して『遊技場』にした。
バーナードがサヴァロンの評議員になったのは2年前...。
大金持ちで有名だったバーナードがカストル王子の肝いりで評議員になれたのだという。
ふと見ると、スティールが私たち3人の情報に共通する"2年前"という言葉に首をかしげている。
***
スティールはなんと、先ほど追い出された王宮に忍び込んできたのだという。
(あんなに衛兵がいたっていうのに...!)
カストル王子は、あのオルフェという人から聞く諸国の情報...特に、ミューザ滅亡の情報に興味津々だったらしい。
「ミューザ滅亡も...2年前のことだよ...!」
ルーファスの指摘に、みなハッとなる...。
王宮にはバーナード評議員もいたらしいが、評議員というよりもスティールにとっては"ご同業"な雰囲気を感じていたという。
バーナード評議員は、最近の議会参集が頻繁なことに対して大声で不満をあらわにしていたそうだ。
それを、あの礼儀にうるさそうなカストル王子が、注意するわけでも叱責するわけでもなく冷めた目で眺めていたのが印象的だったという。
他には、町の地下に『水源洞』という洞窟があり、そこに王家として調査を入れる計画があることなどもスティールは仕入れてきていた。
町に水があふれたのも、その水源洞に原因...もしかするとクリスタルがあるかもしれず、調べてみる価値は大いにありそうだった。
***
「これはこれは、みなさん」
振り返ると、ご機嫌そうなオルフェさんが立っていた。
さらに持ち上げて何かを探り出してやれ...とばかりに、スティールは"王宮詩人のオルフェさん"なんて呼び、オルフェさんの口を軽くする。
「おお~、げに恐ろしきは世に広まる噂の早さよ~」
「カストル王子は、私が王宮に出入りすることをお許しになり~」
「町の実力者バーナード評議員などは、今度私に立派な服を仕立ててくださるとのこと...」
口が軽くなったわりには、披露されたのは内容の薄い情報...スティールは、(協力しろ)とばかりに咳払いをひとつする。
「聞きたいですか...?」...
と、さも聞いてほしそうにしているオルフェさんに、
「うんうん、聞きたい...! 王宮詩人さんの目でみた王宮内のことが知りた~い!」
...などと、作り笑いではしゃいで見せる私...。
オルフェさんから出てきた情報は、町の実力者バーナード評議員の素行言動が悪いのにカストル王子は、表立っては叱責していない。しかし、裏ではそのバーナード評議員の身辺に探りを入れているらしいことなどだった。
ようやく満足がいく情報を引き出せたと、うなずくスティール。
調子に乗ったオルフェさんは、カストル王子が放った密偵がひとりも戻ってきていないことや、バーナード評議員の屋敷は、ここから砂漠を東に行ったところにあることなどをどんどん口にする。
スティールとサンディは目くばせして、重要な情報を聞き出せたな...と微かにうなずき合っていた。