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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第007章] 7-3

拓本

担当:クレア

テーブルに並んだ料理に手も付けずにいたら、体調でも悪いのかとみんなに心配され、酒場のマスターにも心配され、常連さんたちにも次々と声をかけられた...。

デバコフ教授からもらった拓本集を読むのに夢中になっていただけなのに...。私はそんなにも食いしん坊キャラとして見られているのだろうか?

(なに言ってんだおめー byスティール)
(同上。ルーファス)
(同上。サンディ)
(同上。デバコフ)

古代錬金学の碑文の拓本...石碑や金属器に髪をあてて、墨を使って文字や紋様を写し取ったもの...を集めて冊子にしたもの。

サンディに言わせれば、魚拓のようなものとのことだが、仕組みとしては同じものといえる。

拓本集には、私がこれまで知らなかったことがいくつも記されていた。
古の大錬金術師と、高弟カウラが双子であったこと。
2人には死んだ姉がいて、カウラは姉を蘇らせたくてクリスタル創造に情熱を傾けていたこと...。

「こんなガヤガヤしたところでよく読めるなぁ」
スティールのつぶやきももっともだった。
私は、部屋に帰って拓本を読むことにして席を立った。
ルミナにもいろいろ聞いて確かめたかったが、酒場でランタンと話していたら、それこそ周囲の人たちに心配されてしまうだろう。

「よし。じゃあ、後で折詰にして持っていってやるよ」
スティールが目くばせすると、マスターが仕切り板を仕込んだ平鍋を出してきてうなずいた。

ルーファスがひとり、ジョッキをあおり、辛そうにつぶやく...。
「...死んだ姉を蘇生するために、か...」

「ジンジャーエールで、なに雰囲気出してんだよ...!」
「そうだよ? いったいどうしちまったんだい、ルーファス」
いつもの酒場の雰囲気に後ろ髪を引かれながら、私は自室への道を急いだ。

***

翌朝、いつものように下役人のおじさんに見送られながらブラスを出発した。
結局、昨夜は徹夜だった。
スティールがドアノブにかけてくれた折詰を、朝になるまで気づかずにいて、出がけに慌てて食べてきたのだ。

例の拓本の内容については、話すと長くなりそうだったから野営の時にでも話すことにして、まずは賢者の間へと急ぐことにした。