BRAVELY DEFAULT BRILLIANT LIGHTS
REPORT錬⾦ゼミ活動レポート
[第007章] 7-6
火山洞の出会い
才蔵さんに言われた通りに荒野を西へ進むと、孫娘の手を引く老人と出会った。
土地の者であろうか、老人は背中に長銃を担いでいる...。
サンディが火の神殿はどちらへ行けばよいのか尋ねてみたが、老人は豊かな眉毛に隠された目でじっと見つめたきり、何も語ろうとしない。
孫娘の方が、同じく何も言わず北の方を指さした。
クレアが笑顔で礼をすると、孫娘の方は無言でうなずき、老人に手を引かれるようにして去っていった。
「硝煙の匂いがしやがったな。あのガキの方からも...」
スティールの言葉に後方を振り返ってみると、豆粒のように小さくなった老人と孫娘がこちらを見ているようだった。
***
あの孫娘が言った通り、しばらく北へ向かうと大きな横穴が見えてきた。
(ここが、カッカ火山洞への入り口か...)
微かに硫黄の匂いが漂う横穴...僕が中に入るのを躊躇していると、いつの間に入っていたのかスティールが洞穴の中から出てきてつぶやく。
「大丈夫そうだ。行こうぜ」
***
洞穴内の気温と湿度に体力が削られる...。
水筒の水はとっくに飲み切っていた。
クレアに水をもらおうとすると、体力担当の2人から一斉に突っ込まれる。
「魔法で凍らせてさ、各々それを持っていこうよ」
僕の苦し紛れの提案は、体力担当の2人からも好評だった。
「さて、才蔵から聞いた通り、カッカ火山洞に入ったまではよいとして...」
サンディがそう言った瞬間、今歩いてきた道が地響きを立ててマグマに飲み込まれてゆく。
火山活動で洞内の様相が刻一刻と変化する...これも才蔵さんの情報通りだった。
来た道は戻れない。
とりあえず、前に進むしかなさそうだった...。
***
前方で、女性が叫ぶ声が聞こえた。
急いで駆けつけてみると、3人の女性が魔物に囲まれているではないか!
「カーシャ様...! お逃げください...!!」
そう叫ぶローブ姿の女は、明らかにカーシャと呼ばれる女性の背後に隠れている。
「あなたたちを置いていくわけないでしょ」
2人の従者をかばっていた燃え盛る炎のような髪色の女性が、ヒートゴーレムを素手で殴りにかかる...!!
「くっ、やはり効かないか...!!」
痛そうに拳を振る女性は、再び2人をかばう。
「よし、助けるよっ!!」
サンディの大音声が洞内に響き渡る...。
***
クレアと僕でローブ姿の2人の介抱をして、スティールがゴーレムたちの核を破壊してまわる。
「危ないところを、ありがとう。...と、言いたいところだけど」
カーシャと呼ばれた女性は、絶妙な位置取りでクレアの背後を取った。
駆けつけようとするスティールとサンディを視線で制し、続けた。
「この時期、このカッカ火山洞の中をほっつき歩いているのなんて剣派の攻撃部隊ぐらい...。私たちは、敵に情けをかけられたってことかしら...?」
おそらく、状況をまったく読めていない従者のひとりが反論する。
「カーシャ様、この時期、鉄砲集の方々もミスリル探しに入洞しておいでですよ?」
同じく読めていないもうひとりの従者も深々とうなずいてみせる。
「私たちは、確かに黒鉄之刃の将に書状を届けにゆく途中なんですが...」
カーシャという女性の方を振り返ったクレアが語り、僕たちが剣派でも黒鉄之刃でもないこと、火の神殿の攻撃部隊の将に書状を届けて、火の巫女を助けないといけないことを告げると、驚きの表情を浮かべた。
「私は、火の巫女カーシャ。カーシャ・ボルク・オブリージュよ」
今度は、僕たちが驚く番だった...。
こんなところで、火の巫女様が、何を...?