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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第009章] 9-2

大王の目覚め

担当:クレア

火の副将ウージの復命を受けた大神官ヅクエフは、まるでもぎ取るように火の命脈を奪い取ると、含み笑いを漏らし、やがてそれは高らかな笑いに変わる...。

8つのクリスタルの命脈がすべて揃った...!!
これで、ようやく...。

ヅクエフの脳髄に2つの喜びが同時に走る...。

「見事であった、ウージ。ケガなどしていないでしょうね?」
火の将王麗の問いに、火傷を負ったぐらいだと答えるウージであったが決して軽いものではなかった。

振り返った大神官は、王麗たちに命じる...。

「これより、大王様を目覚めさせる儀式を行う...。四人の妃候補は儀式に参列するように」

***

儀式といっても、特段荘厳な何かがあるというわけではない。
大神官は、これまでしてきたように火の命脈をザレル大王が包まれる繭の中に埋め込み、何かを念じている。

「...願わくば、我が主、全知全能の王、大王ザレル2世を眠りから呼び覚まし賜え...」

今まで埋め込んできた命脈すべてが輝きだし、スパークする。
居並ぶ王麗たちの頬に何かが熱風が当たったような気がした...。

***

「...ぷへっ、ぺっぺ...」
体中に付着した繭の繊維片を払いながら、ザレル2世が繭から出てくる。

「あ~、よく寝た寝た...。眠ぃ~~」
大王は、駆け寄る大神官ヅクエフを片手で制し、繭に包まれからの20年間、ここ玉座の間でヅクエフがしてきたことをずっと見ていたこと...加えて、大王を包んだ繭に残る思念が錬金術師カウラの思念も教えてくれたことなどを口にした。
それによると錬金術師カウラは、原初のクリスタルの力をもって、死んだ姉を蘇らせたかったらしい。

「...むしろ、重傷を負った20年前の記憶の方が怪しい...。そうだ...。余は、どうしてこのような恰好をしているのだ...?」

そう尋ねられたヅクエフだったが、ヅクエフにとって、大王と出会った時から同じ服装なのでうまく答えられないでいる...。

「...東にある砂漠の大国、『ルーシャ』の民族衣装にございます」
近くにいた火の将王麗が答える。

クランブルスへ侵攻する以前に攻め滅ぼした砂漠の大国ルーシャの民族衣装を、当時の大王がいたく気に入り、以降ずっと...クランブルス侵攻が開始されてからもその装束を身につけていたのだという。

女官のひとりが答えたと思っていたザレル2世であったが、それが王麗だと知ると目を丸くした。

「...お! お前は、王麗か...。そうか、余が眠り続けた20年...、いい女になったな」
ザレル2世が眠りについた20年前は、ザレル2世が17歳、王麗は9つであった。

「お前が余の妃候補になったのを知ったときは、繭の中で大笑いしていたものだ」

ザレル2世は、当時と変わらぬ、まるで少し年の離れた妹をからかうような口調で王麗を困らせる。

「そなたたち、一人ずつ、大王様にご挨拶せよ」
大神官ヅクエフに促され、他の3将も静かに立ちあがった。