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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第1章] 1-3

ウィズワルドの町

担当:スティール・フランクリン

森の中で出会ったアモナという子どもを連れてウィズワルドへと向かった。
途中、植物系と思しき魔物が何度か襲ってきたが、さほど苦労もせずに撃退した。

アモナという子は、ルーファスにつかず離れず歩いている。
2人の間にあるかすかな隙間はなんなのだろう?
周囲を警戒しながらも、そんなことをずっと考えていた...。

  ***

クレアが、俺が、サンディが...、いや、この町をよく知るルーファスでさえ、驚愕している。

「いったい...、いったいどうしたことだ...!!」
ルーファスが、眼前に広がる異様な光景のわけをアモナに問いただす。

町全体が、樹木に飲み込まれている...。
町中が太い蔓にからまれ、町の中心の塔もすっかり緑に覆われてしまっている...。

「僕がこの町にいた頃は、こんな樹木に覆われた町ではなかった...!」
ウィズワルドの町にいったい何があったというんだ...、教えてくれ、アモナ...。
すっかり冷静さを欠いたルーファスに責められ、アモナはうつむいて黙り込んでしまう。
「やめなよルーファス」
サンディがルーファスの肩を引き、クレアがアモナの肩を抱く。

俺は、町のヤツらにいろいろ聞いてみようと、町の中心部と思しき場所を目指して歩きだした。

  ***

何人目かに声をかけた住人が、ルーファスのことを憶えていた。
ロディという人にいろいろと議論を吹っ掛けては、食い下がっていたのだそうだ。

ルーファスがこの町を出て行ってから1年半ぐらいした頃、国の代表のエマという人が亡くなり、弟子のロディという人がウィズワルドの代表になった。
(たしか、ルーファスはアモナのことをロディさんのお嬢さん、と言っていたな...)

「エマさんっていうのは、この国、ウィズワルドを建国した人さ」
ルーファスが、説明を引き取る。

このウィズワルドという国は、約50年前に建国されたとても若い国で、国家ではあるものの王様はおらず、『魔導研究所』の所長が国の代表になる決まりらしい。
つまり、エマという人は、魔導研究所の初代代表で、アモナの父親ロディが現在の所長ということになる。

「そうそう、あんたも憶えているだろう?」
住人は、5か月ほど前、エマ代表のもう一人の弟子、ラズロウ家のエルヴィスがエマ代表の遺志を継いで旅に出たことを明かす。

ラズロウ家とは、ウィズワルドの有力な貴族。
ウィズワルドでは、有力な貴族が後ろ盾になって国と魔導研究所を支えていて、その代わり、研究成果から得られた利益は、支援者に還元されている。

「その後、この国には悲惨な事故があってな...」
住人は肩を落として言った。
(この時、俺はまったく気づかなかったが、アモナが皆から離れていったのをクレアだけが見ていたらしい)

消沈したロディ代表が、何かを『摂理の塔』に安置して、しばらくするとウィズワルドが樹木に覆われだしたのだという。

それが、今から3か月ほど前のこと...。
これほどの樹木が、そんな短期間に町を覆い尽くすなんことがあるのだろうか...俺たちは思わず顔を見合わせる。

とんでもない速度で成長する蔓が町ごと覆い尽くし、その根は石造りの建物にまで深々と食い込んでいる。
伐採してもとても追いつかず、仮に切り倒せたとしても今では町全体が侵食した樹々に支えられているといっても過言ではなく、おいそれと伐採できない状況になっている。

  ***

「その3ヵ月前に、塔に安置された何かってのが、怪しいわね...」
珍しく姿を現したルミナがしたり顔をして腕を組んでいる。

町の中心に立つ塔のてっぺんに、輝く何かが見てとれた。
その輝きこそがクリスタルだというのか...。

「ずいぶんと小さくないかい?」
そうつぶやきながらサンディが首を傾げる。

どうも以前からサンディがいうクリスタルとルーファスがいうクリスタルでは決定的な違いがあるように窺える。

サンディがいたルクセンダルクのクリスタルとは、両手を広げた大人が数十人がかりでようやく周囲を一周できるぐらいに大きくて、それが宙に浮いているのだといい、かたやルーファスがいたエクシラント大陸におけるクリスタルとは、数名の能力者に襲撃されて奪い去られたというから、片手で持てるぐらいの大きさであることは容易に想像できる。

  ***

気がつくといなくなっていたアモナが戻ってきていた。
ルーファスは、「ウィズワルドの町を...、みんなを助けて」と初めにアモナが言った、真意を優しく問いただした。

アモナは、この異常に繁茂する樹木を取り除くことには大きくかぶりを振り、「あの人たちの道を照らしてやってほしいの」...と不思議なことをつぶやいた。

もうすぐここに来る4人組の人...。
アモナの真意をはかりかねて、俺たちは顔を見合わせた。