BRAVELY DEFAULT BRILLIANT LIGHTS
REPORT錬⾦ゼミ活動レポート
[第1章] 1-6
リリー
リリーさんが入っていった雑貨屋にエルヴィスさんたち4人が入っていく。
僕たちは外で待機。
スティールは文句を言っていたけど、あんな小さな間取りの雑貨屋に8人もの大所帯で入っていったら窮屈でしかたがないだろう...とサンディがなだめると、スティールはサンディの足先から頭のてっぺんまでをしげしげと眺めた後に、しぶしぶ認めた。
***
雑貨屋から満足そうな笑みをもらすリリーさんが出てきた。
「素敵なお洋服。きっとあの子にお似合いだわ」
アモナのために服を買ったのだろうか...。
リリーさんと一緒に帰らなくてよいのかを尋ねても、アモナは悲しげな表情でうつむくだけだった...。
リリーさんの姿が遠ざかると、エルヴィスさんたちも雑貨屋から出てきた。
あの快活なエルヴィスさんの表情が暗い...。
エルヴィスさんが雑貨屋の主人から聞いたところ、リリーさんは、ロディさんと別れて森の中で娘さんと暮らしているらしい。
あの仲のよかったロディ夫妻が別れた...驚きの表情を浮かべ愕然としている僕を、エルヴィスさんはさらに深刻な顔つきで誘いだす。
***
みんなの元から少し離れたところで、エルヴィスさんが重苦しく口を開いた。
5ヵ月ほど前、師匠であるエマ代表の遺志を継いでエルヴィスさんは旅に出た。
その少し後、ウィズワルドでは悲惨な事故があったのだという。
リリーさんに頼まれた荷物を、アモナが魔導研究所のロディさんの元に届ける途中、その荷物が爆発したのだという...。
それも、ガラハードさんの目の前で...。
一瞬、エルヴィスさんが何を言っているのか僕にはわからなかった。
「そうですか...、でも大したことなくてよかった...。アモナもあんなに元気に...なれ...」僕の返事に、エルヴィスさんは苦悶の表情でかぶりを振る。
ま、まさか...。
住民が口々に言う悲惨な事故、エルヴィスさんの痛ましげな表情...ロディさんとリリーさんの不和...それは、アモナがその事故で死んだことを表していた。
そ、そんなはずはない...!!
だって、僕は何度もアモナと話し、エルヴィスさんたちを止めるよう何度も懇願されて...
エルヴィスさんは、僕の肩に手をやり「信じられないのは一緒だ」と目を伏せる。
いや、そうじゃない。そうじゃないんだ...。
***
だったら、リリーさんが森の中で一緒に暮らしているという娘とは...?
どうしてもアモナの死を受け入れられない僕は、アモナが生きている可能性に縋りついていた。
近年、魔導研究所の研究員が次々と行方をくらまして、町中に孤児が溢れているので、リリーさんはその中のひとりを引き取ったのかもしれない...。
寄せられる情報の数々が、アモナの死を物語っていた...。
***
目抜き通りの真上を横切る巨大な蔓の陰で、僕たちは、今後の行動を確認した。
この町の異変...樹木の異常な繁茂。
豹変したロディさん、様子がおかしいリリーさん、何かにとり憑かれたようなガラハード。
やはり確かめてみる必要がありそうだ。
ロディさんに会いに行くのなら『魔導研究所』...。
リリーさんに会いに行くのなら『深緑の樹林』...。
しかし、研究所には中から鍵がかけられてしまっている。
おのずと深緑の樹林に向かうしかないという空気になった時、エルヴィスさんが得意げに笑った。
曰く、町の地下を流れる下水道があって、魔導研究所にもつながっている。
エマ代表の目を盗んで町に繰り出す際、あるいは町で遊んだ帰りに研究所に戻る際に、よく利用していたのだという。
エルヴィスさんは、魔導研究所にロディさんを訪ねるべきだと思っているらしい。
グローリアやセスは硬い表情でうなずき、きれい好きそうなアデルなどはあからさまに文句を言っている。
「あ、あのう...」
クレアがカバンから取り出した鼻栓をアデルに手渡す。
セス、グローリア...と順にアデルの手のひらから鼻栓を受け取って研究所へと歩き出す。エルヴィスは、いたずらな表情でアデルを眺め、アデルは鼻栓をひとつエルヴィスに突き出して、セスたちの後を追っていった...。