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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第4章] 4-8

潜入

担当:スティール・フランクリン

サヴァロンから砂漠を東へ向かうこと半日...。
オルフェの情報通り、海岸の近くに立派な屋敷が建っていた。

俺たちは、昼の酷暑を近くのオアシスでやり過ごし、夕方、あらためて屋敷付近の砂丘から様子をうかがった。

壁で囲まれた敷地内は水がこんこんと湧き出ているのが遠目にもよくわかる...。
俺たちは、このままここで待機して、夜中になったら忍び込むことにした。

  ***

夜陰に乗じて近づき、見張りの目を盗んで屋敷に潜入するまでは、難なくできた。
...が、予想以上に屋敷内の警備が厳しい...。
通路という通路に、兵士が巡回している。
いち評議員の屋敷に、これほどの兵士が詰めているものだろうか。

「何か、守りたいものがある...と考えれば、合点がいくんじゃないのかい?」
俺も同意見だった。

俺たちは、壁に背中をつけるように身を隠し、クレアに用意させた馬用の眠り薬を、詰所の酒瓶や食料に、片っ端からぶちこみながら屋敷の奥へ奥へと進んでいった...。

  ***

巡回する兵士たちの目をかいくぐりながら屋敷中を見て回ったが、クリスタルがある形跡はなかった。

最後にたどり着いたのは、何てことのない応接室に見えた。
クレアは、壁沿いの本棚にあふれる蔵書を見て、まるで図書館みたいだと興奮している。
他の部屋もそうだったが、調度品はどれも揃いの一品...。
あのバーナードの野郎...見た目と違っていいセンスしていやがる...。
そして、抜け目がねぇ...。
ああいった抜け目のなさそうな野郎が、お宝を隠すとしたら...。

棚の本を、読むでもなしにパラパラと開くルーファスが、ぼそりとつぶやく...。
「"木を隠すには森"...なんてことわざがどこかの国であったような...」

(森...、この部屋で一番多いもの... 本か...!!)

「ルーファスとクレアは本棚の右の方から探してくれ。サンディは、上の段の届かないところを頼む」
俺は、(でかした!)とルーファスの背中を叩き、本棚の本を調べ始める。
少し遅れてその意味に気づいた3人も左右に分かれて本棚を調べだした...。

  ***

仕掛けは、壁の中央の本棚の中段...比較的シンプルな位置にあった。
本を取り除いた奥に、鍵穴らしきものが見える...。

当然、合い鍵など持っていない。

「作るしかねぇだろうな~」
俺は、手持ちの道具袋を覗いてみたが、素材も道具も足りてなかった...。

「クレア、まさかと思うが...」
俺は、板バネぐらい薄くてある程度強度がある鉄板と、それを加工する金切りバサミを持っていないか尋ねてみると、「持ってる...!」の声。

「ブブちゃん、鉄板と金切りバサミだって...! あと、金やすりも」
クレアが、ブブちゃんというタコ足に命じると、瞬く間に素材と道具を取り出してみせた。

  ***

急造ながら、合い鍵が完成した。
一度使ったら壊れてしまいそうな出来だったが、この際贅沢はいっていられない。

俺は、鍵穴に差し込んで、慎重に合い鍵を回す...。

「カチリッ...!」
鍵が開く音とともに、本棚が重々しく横にスライドし、隠し通路が見えた...!
本棚のスライドが止まると、鍵穴の中で合い鍵が壊れる音がする...。

「さあ、水のクリスタルがあるとしたら、この奥だ。行こうぜ...!!」
俺たちは、隠し通路の先へと急いだ。