BRAVELY DEFAULT BRILLIANT LIGHTS

REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第5章] 5-13

ナンナン!?

担当:ルーファス

肩透かしにあったというか、何というか...。
眩い光が晴れると同時に、将が一歩前に出て颯爽と名を名乗る...そんなことを予想していたのに、一団の中央にいるやたらと薄着な羽衣女が、何やら叫び出して、周囲がおろおろしている...。

「...な、なんなん!?」
「言われたとおり指輪を掲げたら眩い光に...ピカ~っと...!」
「なんなん、なんなん? ほんま、なんなんなん?」

これまでの流れ通りなら、隣にいる大柄なバンダナ男が副将。
僕たちの方を指さして...おそらく戦うかどうかを確認している...。

お、羽衣女が力強くうなずいて...副将が、ああ、指輪の使い方を教えているっぽい...。

「来るぞ~、あの世界だ...」
スティールの乾いた声に、僕たちはうなずいた。

***

...いつ来てみても、この宙を舞う石柱には度肝を抜かされる。
かといって、僕たちが建つ盆状の地面には、決して干渉しないようにぐるぐる回っているようだ。
(ならば、この盆状の地面に突き刺さる石柱はいったい...?)
...そんなことを考えていると、眼前に並ぶザレル兵たちの真ん中で、例の羽衣女がワタワタしている。

「な、なんなん...!?」
「この景色...、サガン? サガンはどこ行ったん?」
「なんなん、なんなん、ほんま、なんなんなん?」
どうやら、あの大柄な副将の名はサガンというらしく、これまで通りこの異空間には来ていない...。

「なんなん、なんなん、うるせー娘だな~おい」
いつまで経っても名乗りも戦おうともしない敵将に、スティールが苛立ちの声をあげる。

「この空間は、その指輪の力で現出させた戦いのフィールド...らしいよ」
兵士から何の説明もなくどんどんテンパってゆく羽衣女に、ガイラやソーニャから聞いてきたことを、そのまま伝えてやる。

「新任の将さん、とりあえず、しっかりと名乗りをあげてみなよ」
サンディも、大剣の小尻に両手を置いて退屈そうにしている。

「なんなん? なんなん...!?」
「...あ、あたしは、ザレルの風の将ナン・ナンナン...」
「大都から遥か遠く遠く東南の果て、ラヴィヤカ国の御姫様やった...」
「いきなりザナの大軍に攻められて、講和を結ぶためにと、ザレルの大都に送られて...。せぇやのに、肝心の大王さんはあんな状態やし...、こんなようわからん世界に飛ばされて、今度はこんな妙な場所に閉じ込められて...」

「なんなん、なんなん...、あたしの人生...なんなん!!」

...何となく、このナンナンという女性の境遇がわかった気がした。
そんな、僕たちが抱いた同情に似た感情を一喝するように、サンディが大剣を構え、声を張り上げる。
「知らないねぇ、あんたの人生だよ」

「俺たちは、あんたに構っている暇はねぇ。やるならとっととやろうぜ、お姫さんよ...」

おそらくは、これまでこんな否定などされたことがないのだろう。
ナンナンは、顔を真っ赤にして身構えると兵士たちをけしかけてきた。

***

気がつくと、辺りの情景が滝の隠れ道へと戻っていて、敵将ナンナンの周囲の兵士たちが次々と倒れ込む。
兵士たちに促されて、ナンナンは、三度指輪を掲げて、光の中へと消えていった。
...おそらく、ヴェルメリオに戻っていったのだろう。

「よし、スローンの爺さんを追うぞ...!」
(まーた爺さん呼びしてるよ...)
目の前で、スティールがサンディの何気ない肘鉄で真横にすっ飛ばされていた。

「...んだよ!」
「ふん、急ぐよ」
「ふふふっ...」