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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第6章] 6-2

出立直後に

担当:クレア

ゼビュンカ渓谷へ出発する朝、私は自室でブブちゃんに荷物の詰め込みを指示しながらルミナと話をしていた。

ルミナが、またあの夢を見たらしい。

ルミナがランタンに閉じ込められた時のこと...。
前に見たよりも部分的に鮮明に、いくつか忘れていたことを思い出したのだという。

古の大錬金術師は深手を負っていて息も絶え絶え...。
それでもルミナにずっと語りかけてくれて、それはどこか優しげで、悲しげでもあったという。

***

ルミナが産んだというクリスタルの卵は無事孵り、すくすくと成長して繭にまでなった。
あと少しでクリスタルとして生まれ変わろうとした矢先、突然宣告された計画中止の報...。

古の大錬金術師を背後から刺し、クリスタルの繭を強奪していったのは、その高弟のカウラであった。

カウラ...私は、その名を聞いて驚愕した。
なぜなら、錬金のピラミッド内部には、カウラを称えるものがいくつもあり、よく知った名であったから...。

古の大錬金術師のよき理解者で協力者として歴史に刻まれている錬金術師カウラが、師を殺害してクリスタルの繭を強奪した...?

錬金術を志す身としては、にわかには信じられないことだった。
なぜなら、私にとっては、錬金術師カウラの方が、古の大錬金術師よりも近しい存在だったから...。
文献にある数は、カウラの方が圧倒的に多く、古の大錬金術師の方は、詳しい名前すら伝わっておらず、歴史学者の中には、"古の大錬金術師は、実在していなかった!"と唱える者もいるぐらいなのだ。

「古の大錬金術師が殺害され、クリスタルの繭が奪われた後のことは、誰も歴史に刻めなかったから...」
ルミナは、"何を当たり前のことを"とばかりに少しあきれ顔で言った。

***

その時、掠れる声で古の大錬金術師はルミナに語りかけたという。

「あのまま繭を孵化させていたならば、世界は崩壊の憂き目に見舞われていた」
その時点でのクリスタル創造計画の危険性に気づいた古の大錬金術師は、弟子のカウラに計画の中止を伝えたが、クリスタルの創造に己の夢を重ねていたカウラにその思いは届かなかったのだろうとのこと。

デバコフ教授や私に捨て台詞を吐いてゼミを立ち去った多くの級友たちの姿がふと蘇える...。
スティールたちと出会って、一度も思い出すことのなかった私の苦い思い出だった。

見た目によらず遠慮がちなドアをノックする音が聞こえ、スティールが出発の時間を告げた。

***

西門前で集合した私たちは、下役人に挨拶して城門を出た。
ルミナの夢の話をすると、最近ルミナがあまり顔を見せなくなったことや、具合が悪そうなことが話題にのぼる。

ふとサンディが、こちらに向かってくる人影があることに気づく。

「あ、あれは...」
私たちは、顔を見合わせた。