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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート
[第6章] 6-3
行先変更
血砂が煙る地平を歩いてきたのは、テロール将軍の側近、マイヨ兵士長だった。
マイヨは、俺たちの姿を確認すると、あの日焼けした肌と対照的な白い歯を見せた。
***
マイヨは、ゼビュンカ渓谷の暴風が収まっていたことを俺たちに伝えるために、わざわざブラスの街へと立ち寄ってくれたらしい。
全滅とまでいわれた200基以上ある風車群の修理も開始されたのだという。
テロール将軍の側近のマイヨが、なぜゼビュンカ渓谷のことを知り、ブラスまでやってきたのか...。
俺たちの疑問にマイヨは、テロール将軍の元家宰だった老人が亡くなったため、将軍の代わりに葬儀に参列してきたのだという。
元家宰は、老衰で数多くの家族に看取られて眠るように旅立ったのだという。
「こんな時代、恵まれた死に方をしたんだな...」
俺が、つい口にした言葉をルーファスが咎めたけど、マイヨが穏やかにそれを遮った。
考えてみれば、ここにいる人間の親の半数以上は、穏やかな恵まれた死に方をしていない...。
マイヨは、ゼビュンカ渓谷のことを俺たちに報せることの他にもうひとつ、風にまつわる別の問題があることをデバコフ教授に報せるためにブラスにまで足をのばしたのだという。
俺たちは、今出発したばかりのブラスの街へと戻った。
***
出がけに挨拶した下役人が「忘れ物かい?」とニヤニヤ笑うのを尻目に、俺たちは教授がいる大講堂へと向かった。
先に教授に用件を話したマイヨは、足早に大講堂を出ていった。
将軍の側近が、そういつまでも前線を留守にするわけにはいかないらしい。
どんなご馳走をしてやろうと手ぐすね引いていたクレアとサンディは、少し残念そうな顔をしていた。
マイヨからの報告によると、ゼビュンカ渓谷の暴風は収まった代わりに、新都の辺りの風がぴたりと止んでしまったのだという。
それまでは風に散らされていたエサカルモ火山の降灰が空気中に漂い、新都からニーザにかけての一帯は、昼もまるで夜のように暗い状況になっているらしい。
珍しくルミナが出てきて、ルミナの羽が微かに反応していることを告げる。
微かにでも反応を示しているということは、やはり今回も賢者の間に向かうべき案件ということになる。
ゼビュンカ渓谷は、風の力が強すぎて暴風が吹き荒れ、そして今度は風の力が弱まって人々が難儀している...。
ルミナ曰く、クリスタルが存在しないヴェルメリオでは、火、水、風、土の力がそれぞれ極端に偏りやすいのだという。
教授は、クリスタルとは、世界の調和を司るもの...と、かの古の大錬金術師が語ったという一節を口にしたが、ルミナもそしてクレアも少し複雑そうな顔をしていた。
いずれにしても、錬金ゼミのゼビュンカに向かう計画は中止...俺たちは、翌朝、賢者の間に出立することにして教授の承諾を得た。