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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第6章] 6-6

砂と大時計の国

担当:ルーファス

スティールが、転移してきたここがどこなのかを僕たちに聞こうとする前に、サンディがつぶやいた。

「この景色は...、間違いない...。ナダラケス砂漠だ...!」
そして、僕たちが「なぜわかるんだい?」と問う前に、悲鳴が聞こえた...。

「ち、近寄らないでください...!!」

***

悲鳴のする方に向かって砂丘を駆け上ると、その麓にひとりの女性と姿勢の悪いターバン男がいる...。

砂丘を駆け下りるスティールもサンディも、ターバン男に向かっている。
何より、襲われている女性は、ブラスの来訪者として何度か見たことがあったのだ。たしか名前は...。

スティールたちに遅れて、転げ落ちるようにクレアも砂丘を駆け下りる。
僕は、砂に沈む足をしっかと踏ん張って、雷撃の詠唱を始めた...。

「お前、風の巫女...だな~? へっへっへ。おとなしくついてきてもらおうか...」
拒否する女性に、ターバン男の手がかかろうとしたその時...、僕の雷撃が男の頭上に落ち、感電してのけぞった男のわき腹をサンディの大剣の腹がうなりをあげビッタ~~ンと吹っ飛ばし、そこに目掛けて跳躍していたスティールの跳び蹴りが炸裂する...。

ターバン男はのけぞり、右へ吹っ飛ばされて蹴りを食らってグルグルと何度も後転するという奇妙な動きをした後、「...お、おぼえていやがれ~~!!」と悲鳴に近い捨て台詞を残して、陽炎の中に消えていった。

***

サンディが大剣を後ろ手に、自らの背に隠すようにし砂に片膝をつく。

「風の巫女、アニエス様でいらっしゃいますね?」
サンディがアニエスと呼んだ女性は、自分が救われたとわかった今でも、まだ警戒を緩めていない...。

***

「そうですか...。旅のご一行でしたか...」
アニエスの表情が少しだけ緩やかになるのを見て、僕たちは簡単に名を名乗る。
「アニエス・オブリージュと申します。危ないところを、ありがとうございました」
...そういって丁寧に頭を下げた。

(オブリージュ...? 水の巫女オリビアと同じ姓なんだ...)
年のころや、世間知らずな感じは似ていたが、決して見た目が似ているとは感じなかった。

「風の巫女様が、こんな砂漠の中を従者もつけずおひとりで...いったいどうなさいました?」
サンディの丁寧な問いに、アニエスさんは一瞬躊躇しつつも口を開く...。

「風のクリスタルが闇に覆われてしまい...」
アニエスさんがそう言っただけで、まるでその答えが返ってくるのがわかっていたかのようにサンディは大きくうなずく。

「...なんと! では、今は公国暦16年...」
サンディは、この年代を特定する"確認"のためにわざと驚いてみせている。
闇の大穴がカルディスラという地に出現し、4つのクリスタルが闇に襲われてしまった直後...。
アニエスさんは、国王に支援を求めにラクリーカの街へと向かっているという。

街までの護衛...僕たちがいつもの流れを確認し合っていると、視界の外でアニエスさんが魔物に襲われていた...。

「行くぜっ!!」
ダッシュしたスティールが蹴った砂が、僕の優雅な髪に降りかかる...くそっ!
***

「私の、護衛を...? ですが、なぜ...」
アニエスさんの問いに、スティールがぼそっとつぶやく。

(あんたがどんくさいからだよ...)
慌てたサンディが足を踏みつけ、そこにクレアの杖が(こら!)とばかりに小突いたせいで、スティールは膝をカックンさせてひざまずく。

何をしているのかわかっていないアニエスさんに、サンディは丁寧に説明した。

「他の3名は、義侠心から...。そして私は、元正教騎士団に所属しておりましたゆえ、風の巫女様をお守りする義務がございます」

聞いたことがある正教騎士団の名を聞いて、アニエスさんは素直に喜色を表したが...。

僕には、(水の巫女オリビアの時にもそう感じていた)その素直さがとても危ういものだと思わずにいられなかった...。