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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第008章] 8-4

墓標

担当:スティール・フランクリン

俺たちが息を弾ませてニレの大木の麓に来てみると、そこには雪に埋もれた小さな墓標と、その傍にさらに小さな石積みがあった。

「我が最愛の妻ララ・フランクリンここに眠る」
墓標の方には、そう刻まれていた。

親方が作らせたに違いない。
墓石の裏側には、わりと新しく『大樹の洞を探せ』と刻まれている。
ビルの文字だった...。
筆跡でわかったわけではない。ビル特有の誤字がそれを証明していた。

「大樹の洞って、あのご神木のことでいいのかな?」
そうルーファスが指さした先を見つめてみると、その向こうにまたもやあの地質調査員のドーサンが魔物に追いかけ回されている。

「助けてやりましょうかね」
サンディがおもむろに大剣を引き抜いて言った。

***

墓石に刻まれていた洞は、ニレの大木の、サンディの身長の倍ぐらいの高さにあった。

俺は、太い横枝にロープを引っかけてニレの大木をよじ登り、洞の中に手を突っ込んだ。

飛び降りざま、まるでサルのようだとほくそ笑んでいたルーファスの足を踏んづけてやった。
(ふん、しばらくそうやってケンケンしているがいいさ)

洞の中には、油紙に包まれた、親方が書いたと思しき日記の一部があった。
皆に促されるままページを開いてみる...。
ペリペリと、すぐに破れてしまいそうな音を立てる。

「クラム816年、冬。最愛のララを、ララの故郷キドケイユ村に埋葬する。」
懐かしい親方の筆跡が視界に飛び込んできた。

このキドケイユ村が、親方の奥さんの故郷だったとは...。

クラム816年ということは、今から31年前のことになる。

親方の奥さんは、22年前に親方に拾ってもらった俺にとっては会ったこともない人だが、親方からもビルからもよく聞かされていた。

チビの親方と違って小山のように大柄でふくよかな人だったらしい。