BRAVELY DEFAULT BRILLIANT LIGHTS

REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第008章] 8-17

凶風

担当:クレア

大聖堂内の回廊を散々迷いながら、2人はようやく礼拝堂のところまでやってきていた。

「...結局、なんだったんだろうな? あいつら...」
「バハ、バハハ~ン...」

実際はここからライムダールの町に出て、御子の捜索で血眼になっている教団の目を掻い潜って逃走しなければいけないところを、オミノスさんとバハムートちゃんは礼拝堂の中央をのんびりと歩いている。

礼拝堂の中には、信徒の姿もマルグリットさんの姿も見えない。

「うん? 僕らを助けてくれたからいい人たちに違いない? まあ、そうなんだろうけどさ...」
オミノスさんが、おそらく何かの不満を言いかけた時、背後の大扉が轟音を立てて打ち破られ、大きな音を立てる!!

「くそっ...! あのジジイと糸目野郎に、こんなに手間取るとはな...」
舞い上がった砂埃が晴れると、大男が肩を押さえながらやってくる...。
オミノスさんの少し神経質そうな誰かが、礼拝堂の高い天井に反響した。
「だ、誰だっ!!」

「ちっ、邪魔だっ!! どけいっ!!」
火の命脈を入手できた火の副将ウージだったが、ドモヴォイ最高司祭とヘリオ審問官と戦った直後で満身創痍...ゆったりとオミノスさんに対する余裕などなかった。

「怪しいヤツめ! バハムート、お前の炎で焼き尽くしてやれ!!」
オミノスさんの指示で、バハムートちゃんが吹き出した爆炎が、ウージを襲う!!
ウージはオミノスさんたちを一撃で消し去ろうとしたが、思わぬ反撃を受けて大いに驚かされた。

「くっ...、くそっ...!(こんな小物相手に...)」
ウージの脳裏にオミノスさんたちと一戦することもよぎったが、まずはこの入手した火の命脈を無事届けるのが先決...。
ウージはその場に、四将が指輪で展開するのと同じ"入口"を開き、光の中へ消えていった...!!

「あっ、また消えたっ!!」
「バハ...?」
2人が呆気にとられているとその後方に、今度は光の球が発生する!!

「今度は(僕たちをここへ連れてきた)あの光だっ!! バハムート、僕たちも帰れるかもしれないぞ! こっちへ来いバハムート、離れるなよ...!」
「バッハ~~!」
2人は抱き合うようにして、光の中へ消えてゆくのであった...。

***

私たちは、賢者の間へと帰ってきた。

「...や、やったわ...!!」
ルミナが小さく叫ぶ...。

慌ててランタンを覗き込むと、ルミナの羽の8つの紋様がすべて輝いている。

「ようやく、ようやく...8つの...、希望が...!」

「希望が...、私の...私の...、......ちゃんが、やっと...」

ルミナの身体がまばゆく輝き、ランタンが音を立てて割れて破片が四方に飛び散った...。

***

ここは、ゴリーニ湖東岸にあるゴリーニ村まであと少しの場所となる。
ゴリーニ湖畔のあの何かが腐ったような匂いの他に、油煙の鼻を突くような臭いが西方から漂っている。

「進め~~~~いっ!!」
「遮るものは、すべて焼き払うのだ~~~~!!」

私たちが慣れ親しんでいる共和国軍の軍装とはまた少し違った防具を身につけた兵士たちと、数十両にも及ぶ青い機甲兵器が東に向かって行軍している。

「デバコフ教授...、こ、これは、いったい何が起きているというのじゃろうか...?」
「あの大きな青い機械はいったい...」
ゴリーニ村村長の長い人生の中でも、あのような軍勢は見たことがない。
無論、ゴリーニ湖賊などと言われ、荒々しい生き方をしてきた新郎殿にとってもそうだ。

デバコフ教授が見るに、この軍勢はゴリーニ湖の北岸と南岸を二手に分かれて東に向かっているようで、船舶を持っている気配は見受けられなかった。

教授の嫌な予感のピースがどんどん合ってゆく...。
その予感の中ではこの軍勢にとって、ゴリーニ村などはおそらく眼中にない...。

「みなさんは、村民を船に乗せ、新郎殿の拠点グラネ島へ避難してくだサイ」

新郎殿は配下に命じ、さっそく出港の準備を始める。

「教授は、どうなされるのじゃ...?」
「私は、ブラスの街へ帰りマス」

お腹の大きさが目立つようになった新婦が悲鳴をあげる。
「そ、そんな...! 敵の進路と同じじゃないですか...!」

教授は、小さくかぶりを振って、新婦を新郎殿の方に押しやる...。
「彼らの目的は、錬金の街ブラスに...。いや、きット...、」

デバコフ教授の脚は鋭く大地を蹴り上げながら、すでに東に向かって走り出している...。

「きっと、クレアの命ですカラ...」

教授の姿がゴリーニ村から消えた頃、新郎殿の船が先導する船団が、港を離れていった。

村長は泣き叫ぶ村民たちをなだめながら、生まれ育った村が燃やされてゆくのをただただ呆然と眺めていた...。