BRAVELY DEFAULT BRILLIANT LIGHTS

REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第2章] 2-20

西からの凶報

担当:ルーファス

ザレルの都、大都の地下深くにある『繭の玉座』では、土の副将サージが大神官に復命していた。

全身に傷を負い、まともに立っていられないといった様相のサージは、土の将ガイラの安否を問うも、大神官は先に『土の命脈』を差し出すよう言って聞かない。

土の命脈を差し出したサージは、あらためてガイラの安否を確認する。
土の将ガイラは、サージよりも深手を負い連れていった兵士の実に8割を失うというひどい状況だった。
今は、幕舎で臥せっているという。

サージは、大神官に問う...。
「命脈を奪われたかの世界の土のクリスタルは砕滅してしまいます。これで、本当によかったのでしょうか...?」

大神官は、サージの問いを煙たがるように
「大王様さえお目覚めになれば、あの世界がどうなろうと知ったことではない」
そういって背を向ける。

背後でサージが床に倒れこむ音が響き渡る。
「ふん、土の将ガイラや異世界のクリスタルなどを気遣うとは、ワシの怯懦な部分を受け継いでしまったと見える...」
そう言ってゆっくりと振り返り、神官を呼びつける。

「この出来損ないをどこかへ片づけておけ」
そう神官に命じるとともに、当分前線に復帰できそうにない土の将ガイラに代わる者に心当たりがないかを諮問する。

兄弟国であるザール・ウルスより、水の将ソーニャが上洛しているという。
大神官は、水の将ソーニャを引見する場を設けるよう神官に命じた。

  ***

地下神殿を出る時、僕たちは、エインフェリアから贈られた雪用ブーツを、自分が履いていた靴へと履き替えることにした。

靴底の海獣の毛皮は神殿内の石床の上でも滑らず、靴自体もとても軽いので良いのだが、なにぶん内側についている防寒用の毛皮が暑くてたまらないのだ。
僕たちは、慣れ親しんだ自分の靴の履き心地を確認しながら、血砂荒野へと足を踏み入れた。

  ***

僕たちがブラスの街へ向かって歩いていると、前方から見覚えのあるシルエットがこちらに歩いてくる...。

イヴァールだった...。

「おやおや、錬金ゼミナールの諸君。あいかわらず、泥だらけ...そこら中にケガまでして...。学業をおろそかにして、いったいどこへ冒険しに行ってきたんだい?」
相変らず相手をイラっとさせる口調で、イラっとさせることを平然と言ってのける...。

「その冒険で疲れてるの。そこをどいて」
クレアがまったく取り合わず、イヴァールの横を通り過ぎる。

「ほら、どけだってよ」
スティールは、わざと肩が当たるような距離でイヴァールの横を通り過ぎる。

少しよろけて体勢を崩したイヴァールが、僕たちの後方を眺めて
「おや...? あの人を待たなくていいのかい...?」
...と尋ねる。

ふり向くと、教授と一緒にゴリーニ湖に向かったはずのクリッシーがよろよろとこちらに歩いてくるのが見えた。様子が変だ...!

「きょ、教授が...、危な...」
駆け寄った僕らにクリッシーが語ったのは驚くべきものだった。
気絶したクリッシーを担いで、僕らはブラスの街へと急いだ。

  ***

医者の見立てによると、クリッシーは極度の疲労と脱水症状であるものの、命に別状はないらしい。

クレアは、宿屋に数日分の宿代を先払いして後のことを頼むことにした。
今すぐにでも教授を追って西に向かう準備を調えなければならない。

南の大地溝の確認は、どうするか...。
スティールが、近くで聞き耳を立てているイヴァールを呼びつけ、南の大地溝の視察を頼み込む。

最初は乗り気じゃなかったイヴァールも、テロール将軍直々の依頼であることや、これはブラス市民の使命であることを言葉巧みに吹き込まれて、まんまと承諾してしまう。
(スティールも、なかなか弁が立つじゃないか...)

張り切って駆けてゆくイヴァールを見送り、僕たちはクリッシーが目を覚ますのを待って、ゴリーニ湖へと出発することにした。