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REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第3章] 3-7

水の巫女

担当:サンドラ・カサンドラ

「ソーニャ様、とどめは刺さなくてもよろしいので?」
「捨て置きなさい。水のクリスタルを探しに行きます」
暗闇の中、水の将ソーニャと副将ウガンの話声が遠ざかっていった。

(そうか...ヤツらは、水のクリスタルを...)
意識が、暗い淵の中に深く深く沈んでゆくような気がした...。

  ***

額に冷たい何かを感じ、あたしは跳ね起きた。

濡れた手ぬぐいが額から落ちる...。
あたしは...、ソーニャの一撃を食らって気を失って...手当してもらっていたのか...?

すぐそばで、あたしたちを介抱してくれていたであろう少女が、クレアに名乗っていた。

「私は、オリビア...。オリビア・オブリージュと申します」

!!
み、水の巫女さま...!!
急に叫び声をあげたあたしに、みな驚きの表情を浮かべていた...。

  ***

水の巫女オリビア様が、故郷のリップルの町を出て、フロウエルの街へ向かう途中、水を汲みにきた従者の方が、野に倒れているあたしたちを発見し介抱してくれたらしい。

(水の巫女さまがご存命...そしてフロウ湿原をお供ひとり連れただけで出歩けるということは...)

あたしはオリビア様に、水の巫女になられてから何年経つのかを尋ねてみた。
いきなりの質問に、驚いた顔つきをしていたオリビア様であったが、
「2年と少し...ですが、未だ巫女としての重責を果たせているとはとてもいえず...」
...と、うつむいた。

(オリビア様とアニエス様が揃って巫女の座に就任したのが公国暦11年。そこから2年と少しということは、今は公国暦13年...あたしが正教騎士団を出奔し、後難を恐れて故郷にも戻れず、冒険家稼業を始めた頃ってことかい...。だったら...!)

「ブラッドローズは?」
続いてあたしがした問いの意味を、オリビア様はわかっていないようだった。

「しかし、この度、『聖花祭』の在り方について問う評議があるとのことで、フロウエルの街へ向かうところだったのです」
それは、ブラッドローズの文化侵略が始まっていることを示していた...。

「よろしければ、あなたたちもフロウエルの街へ、ご一緒にいかがでしょう」
見ず知らずの一行と気軽に同行されるとは...オリビア様の無警戒さが気にはなったけど、背に腹は替えられない。

「是非っ...! お供つかまつりますっ!!」
あたしは、皆の総意を確かめることもせずにそう答えていた。

「水の巫女オリビア様は、この国にとってかけがえのないお方...。そして、水のクリスタルへ、もっとも近い方ともいえるのさ」
みんなの顔を見つめながら、ルミナに言い聞かせる。
ルミナは不満そうだったけど、クレアもスティールもルーファスもしっかりとうなずき返してくれた。