BRAVELY DEFAULT BRILLIANT LIGHTS

REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第3章] 3-15

祝言

担当:ルーファス

「いや~、あの化け物相手にひるみもせずにモリを突き立てるとは...! 婿殿は、天下無双の剛の者じゃ!」

笑い皺が増えた村長が、引き揚げてきた僕たちを...いや、めでたく婿殿となった若者を出迎えた。

村長宅では、戦いに参加した者たちをもてなす酒盛りが始まる...。

サンディによると、数日前の光の球から現れたという魔物は、ナダラケス大陸東方のユルヤナ海というところに現れる幻獣ピュートンというらしい。
光の球によって魔物が転移してくることが明らかになったことは、デバコフ教授やテロール将軍にも報告しておいた方がよさそうだ...僕たちが目語していると、

「娘よ、お前は良いお人を掴まえた! いや~、めでたい...!」
村長のことさら大きな声が響いてくる...。

破顔する村長の目には光るものがあり、最高級の酒のアテだとサンディは大杯をあおっていた。

  ***

宴もたけなわとなり、村人たちと一緒になって踊る新郎と新婦...それを楽しそうに見ている錬金の師弟の間では、ちょっとした問答が始まっていた。

デバコフ教授の錬金術をもってしても不可能だった湖水の浄化を、いかにして成し遂げたのか...。
下手なごまかしは通用しないとあきらめたクレアが、これまでの顛末を事細かに報告する...。

賢者の間、ランタンに入った妖精、異世界への転移と息吹の入手...。
デバコフ教授は、クレアの話を興奮しながら聞いている。

クレアがルミナを紹介しようとしても、へそを曲げたのか人見知りなのか、ルミナは一向に姿を現さない。

「いえ、それが、私の知る妖精と同じであるならば、姿を現さないのも無理はありまセン。我々、錬金術師は、彼女にずいぶんな仕打ちをしたようですカラ...」
まるで、教授はルミナのことを...いや、賢者の間や異世界のことも、直接ではないにしても知識としては知っているようなそぶりだった。

「教授は、ルミナをご存じなのですか?」
クレアの問いに、沈黙で応えるデバコフ教授...。

2人の背後をふいに横切る人影があった...。

さっきまで村人たちと楽しそうに踊っていた新郎が、戸口を蹴破るようにして外へ駆け出してゆく...!

次いで、サンディとスティールがやってきた。
湖畔にまた魔物が出現したようで新郎がいち早く駆け出していったらしい。

「新郎を死なすわけにはいかねぇ。行こうぜ...!」
僕たちは、新郎を追って湖畔へと向かった。

  ***

ザレル・ウルスの都、大都(だいと)の地下深く『繭の玉座』では、水の副将ウガンが大神官に復命し、入手した『水の命脈』を差し出していた。

ウガンを下がらせた大神官は、繭に包まれたザレル大王を見つめ、
「あと5つ...。大王様の復活が先か、ワシがこの世から消えるのが先か...」
そう独り言ちた。

  ***

玉座の間から退室してきたウガンを、水の将ソーニャが呼び止める。

「命脈を失った、かの世界はどうなるのです?」
ソーニャの問いに、ウガンは素っ気なく答える...。

「...さあ? 過ぎ去ったことです。憶えていません」
ウガンは、ソーニャを見下ろして、
「踏み潰したもののことを、踏み潰した本人は憶えていないものですよ。大国ザール・ウルスが、8年前に滅ぼした小国ツララスタンなどを憶えているとでも思っておられるのですか?」

色をなすソーニャに、笑みを浮かべたウガンは、なおも続ける。

「大王ザレル2世が眠りから覚めねば、誰が、兄弟国ザールが併呑した小国の再興などに手を貸そうとお思いか! 命脈とは、大王様を目覚めさせるためには欠かせないもの...」

「余計なことは考えず、せいぜい使命に精勤することですな、ふっふっふ...!」
呆然とするソーニャを置いて、ウガンは去ってゆくのであった。