BRAVELY DEFAULT BRILLIANT LIGHTS

REPORT錬⾦ゼミ活動レポート

[第6章] 6-13

死闘

担当:ルーファス

商会兵とザレル兵、時折つっかかってくる土着の魔物...。
撃退して一旦は引き揚げるものの、態勢を整えてすぐに襲ってくる。

三者は連携などしてはいない。
特に魔物などは、商会兵にだろうがザレル兵にだろうがお構いなしに襲ってくるので油断ができない。

何度目かの撃退の後、商会兵が引き揚げてゆくのが見えた。
重傷を負って動けない者に、動ける者がとどめを刺して回っていた...。
胸糞の悪い光景だったが、正直、僕はほっとしていた。
今度こそは、一時的な退却ではなさそうだ。

***

手持ちのエーテルはとっくに切れていた。
クレアに分けてもらい、あの甘苦い液体を飲み干す...。
暑さのせいか、粘度が増していて最悪ののど越しだった。

商会兵の引き揚げと同時に、ザレル兵の突撃がきた...!
こちらは、どこか悲壮感が漂う必死の様相の突撃だった。
サンディと目くばせし合ったスティールが、
「風の巫女さんよう、俺たちはおそらく、ここから一瞬いなくなる」
...とアニエスさんに語る。
何を言われているのかわからずにいるアニエスさんはきょとんとしていた。

「あんたはここから北へ...港町サンヴァシィに向かって走るんだ」
「私も、私も戦います...!」
「いや、おそらくあんたには入れない場所で戦うことになる」
話を理解できないアニエスさんと、説明するのが面倒になってきているスティールの不毛な言い合いがしばし続く。

業を煮やしたサンディがアニエスさんの背に手をあて「見た限り、しばらくは魔物の襲撃もなさそうです。お急ぎください」と出発を促す。

「あの...、北とは、どちらの方でしょう...?」
(えっ...、そこ?)僕たちの高速目くばせが交錯する中、サンディはアニエスさんの背を押し、アニエスさんは北を目指して歩きはじめた。


***

「ようやくお出ましかい? 風の将ナンナンさんよ~...」
砂丘を駆け上ったところに、僕たちが待ち構えていたものだから、敵将ナンナンは、少なからず驚いたようだ。

待ち伏せなどではない。
夜明けからずっと戦い続けの僕たちは、動きたくなかっただけだった。

「ほれ、おっ始めようぜ。早いとこその指輪に念じて、あの変な世界に行こうぜ」

スティールに促されて、ナンナンは指輪を宙にかざし、あたりは光に包まれた。

***

あの巨大な石柱が宙を舞う世界で風の将ナンナンは、しきりに自身の身の上を語っていたような気がするけど、正直あまり憶えていない。
それほど僕たちは疲れていた。

死闘が始まり、ナンナンが負傷したことで戦いが終わった。

深手を負ったナンナンは、たったひとりの兵に肩を担がれて砂丘をまるで転げ落ちるように去ってゆく...。

正直、追いたくなかった。
そんな僕の願いを聞き入れたのか、ナンナンと兵士は、光に包まれて消えていった。
どうやら、ヴェルメリオ大陸に帰っていったようだ。

「風の巫女さんは...?」
スティールにならって北の方を見てもアニエスさんの姿は見えなかった。

港町サンヴァシィに辿り着いたということか...安堵しかけた僕たちは、視界の隅で一生懸命走っているアニエスさんの姿をとらえた。

「おい...、風の巫女さんは、なんで東の方に向かって走ってるんだ...?」
スティールが呆れていると、アニエスさんは、今度は南に向かって走り出した...。

「とんでもねぇ方向音痴だな」
やがて、ちょうど右回りで一周したアニエスさんが、こちらに向かって走ってくる...。

アニエスさんは、行く手にいる僕たちの姿を見て一瞬驚きを見せ、きょろきょろと周囲を見回した後、恥ずかしそうに目を伏せた...。