BRAVELY DEFAULT BRILLIANT LIGHTS
REPORT錬⾦ゼミ活動レポート
[序章] 序-19
魔法陣
戦闘が終わった後も焚火はまだ燃えていた。
私たちを襲撃した魔物の気配は、辺りから消えていた。
一段落って感じかねぇ。
そうだといいが...。
サンディとスティールの会話が、なんとなく遠くに感じた...。
同時に、何か恐ろしい、とても寂しげな心を締めつけてくるような音が聞こえてくる。
「しっかりしろクレア」
間近で叫ぶスティールの声も、とても遠くに感じる。
急に暗くなった視界の中央に、豆粒ほどの光が現れ、瞬く間にどんどん膨らんでゆく...。
「光の...、球!」
こ、これが、光の球だというの...!?
光の球がまばゆい光で辺りを照らしながらさらに大きくなり、弾ける!!
***
光が弾けたその場所に、巨大な機械仕掛けの化け物が立っていた...!!
機械でできた4本の脚、頭と思しき部分には、1門の砲塔がある。
「なんだ? このバカでかいのは...」
みな口々に驚きの声をあげる!!
「...あの紋章は...!?」
魔物の脚の装甲に描かれる紋章を見たサンディの動きが一瞬止まった。
スティールに叱咤されて我を取り戻すサンディ。
光の球から出てきたということは、こいつもお前らのいた世界...ルクセンダルクやエクシラント大陸から来たってことか?
スティールの問いに、2人は首を傾げている。
どうやら2人とも目の前にいる機械の化け物を元いた世界で見たことはないらしい。
光の球によって遺跡の内壁が巨大な球形にえぐられている。
ものすごい温度で融解したのか表面はガラス化しているらしい。
機械仕掛けの巨大な化け物が、煩い音を立てて襲いかかってきた...!!
***
何をどうしたものか...、最後はサンディが突き立てた大剣にルーファスが雷撃を放ってようやく機械仕掛けの化け物は沈黙した。
石柱の陰に置いておいた荷物は無事だったようだ。
スティールが足で焚火を消している。
私たちは、野営を取りやめ、先に進むことにした。
***
私たちは、『賢者の間』に到着した。
直前までの回廊は、落盤の被害が顕著に見てとれたのに、不思議と賢者の間の中は被害の痕が見えなかった。
スティールがルミナにこの後のことを尋ねると、ルミナは、まずはこの世界からどんな災いを取り除きたいのかを聞いてきた。
血砂荒野、南北の大地溝、エサカルモ火山の噴火、近年では頻発する地震なども取り除きたい災いになるだろう...。
あらためてヴェルメリオ大陸が災いだらけなことに気づかされる。
ふと、ナメッタ渓谷で異常繁茂していた樹木にルミナの羽が反応していたのを思い出した私は、最初の取り払う災いとして提案してみた。
ルミナがうなずき、みなを魔法陣の上にいざなう...。
ランタンの中、しばし瞑目していたルミナが瞼を開けて何かをつぶやく。
「見える、見えるわ! 鬱蒼とした樹木に覆い尽くされようとしている知の街が見える!」
光に覆われたルミナが両手を広げる。
「さあ、旅立ちましょう...! まやかしの日常に塗り固められ、情愛にあふれるがゆえに囚われ、傷つく者たちを癒す旅へと...」
魔法陣が輝きだし、体が足元から分子に還ってゆくような感覚を覚え、やがてまばゆい光に同化していくのがわかった...。
***
ザレルの首都『大都』の地下深くにある『繭の玉座』にて...。
大神官が何かを察知し、興奮気味に側近の神官を呼ぶ。
「土の将ガイラを、これへ...。精鋭を率いて来るよう伝えよ」
側近の神官が、走り去る。
大神官の低い笑い声が玉座に響き渡った...。