かつて、秩序の神と混沌の神が互いに相争う世界があった。
今の世界は違う。だが、ここに過去を再び演じようとしている猛者がいる。ガーランドだ。
彼と斬り結ぶこと、幾百を数えようとしている。
ガーランドもまた、光の戦士と同じ、数多の戦いを経験した戦士である。
ガーランドははっきりと覚えている。秩序と混沌の神のもと、彼は戦った。
そしてその後の世界でも、彼は戦いに明け暮れていた。今なおそうだ。光の戦士はガーランドの闘争に自ら身を投じることで、彼を満たし、いつか闘争の終わりを見ようとしていた。
だが、ガーランドは言う。自らの存在ある限り、闘争は終わらず、逆もまた真であると。
「闘争なくして今のわしはない! そして、この旧世界を形作る混沌は、今この瞬間、わしらの闘争によって生み出されているのだ」
「世界が混沌によって形作られている、だと……!?」
「この旧世界は神々に見捨てられた世界。わしらの闘争の空間を維持するのはただひとつ、混沌のみ。そう、カオスこそが世界を支配する!」
「させるものか! 私は光をここに残す!」
闘争を求めた先にある混沌、すなわちカオスの支配を示唆するガーランドに、光の戦士は立ち向かう。
必ず光がそれを照らす。光が秩序の道を指し示すのだと。
「秩序」の言葉に、ガーランドは高笑いで応じた。
「秩序は混沌と表裏一体。貴様が秩序になろうとするならば、わしらふたりは新たな秩序と混沌の神になるまでよ」
あの暗闇の雲の抱える闇と、小僧の抱く光のように、わしらは表裏一体なのだ――そうつぶやき、ガーランドは大剣で一閃を加えた。
「私は……神ではない!」
斬撃を退け、光の戦士は答える。
「たとえ私に数多の戦いの記憶があったとしても、人の感情があり、人の肉体があればこそ、ここまで戦ってこれた。そしてその人の性質があればこそ、私はこれからも戦えるはずだ!」
「証明できるか?」
と、ガーランド。
「証明してみせる。そして願おう、この旧世界が、いつか皆の帰る場所とならんことを!」
彼は自らの人性を証明し、なおかつ旧世界をカオスから守り、「いつか帰る場所」とするべく、終わらぬ戦いに身を投じるのだった。